一眼レフ初心者の方にとって、「F値」は理解が難しいカメラ用語になっています。
しかし、F値が理解できればカメラの基礎がわかるので確実に写真が上達できます!
このページではイラストを用いて、F値をわかりやすく解説しています。
ノーノちゃん
コヤくん
このページの目次
1. F値(絞り値)とは
F値(えふち)は、レンズを通る光の量を表した数値になります。
わかりやすく言えば、「レンズの穴の大きさ」と考えることもできます。
レンズの絞りを操作すると、外から入る光の量を調整することができます。
絞りを開くとカメラに入る光の量が多くなり、絞ると光の量が少なくなります。
ノーノちゃん
コヤくん
レンズは猫の目と同じ
レンズと絞りは、目と同じような働きをしています。
明るい場所では、猫の目は細くなり瞳孔が閉じて光を抑えます。
カメラのレンズも、絞りを小さく閉じて光を抑えます。
周囲が暗い夜の場合は逆になります。
暗い場所では、猫の目は黒目になり、瞳孔が開いて光を取り込みます。
レンズの絞りも開いて、多くの光を取り込むようにします。
ノーノちゃん
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F値を設定できる撮影モード
F値を設定できるのは「絞り優先オート(絞り優先AE)」(またはマニュアルモード)になります。
ノーノちゃん
コヤくん
「絞り優先オート」を詳しく知りたい方はこちら
【絞り優先オート】とは?意味やシャッター優先との使い分け
F値の数値表
F値を操作すると「F4.0、F4.5、F5.0、F5.6、F6.3、F7.1…」と細かく数値が変わります。その中で、「段」という区切りの数字が目安となっています。
F値の段にはこのような数字があります。
F値を1段動かすことを、1段開く、1段絞るといいます。
通常は操作ダイヤルを1つ動かすと1/3段変化します。例えば「4.0 → 4.5」になります。ダイヤルを3つ動かすと1段分変化し、「4.0 → 5.6」になります。
1段変化すると、カメラに入る光量は2倍または1/2倍に変化することになります。
ノーノちゃん
コヤくん
光が通る円の面積を2倍するにはルート2倍する必要があり、√2=1.4142…となるのでF値も「1.4倍」ずつ変化しています。
入門機キットレンズの開放F値
入門機に付属するキットレンズの開放F値は、たいていF3.5やF4などとなっています。
単焦点レンズなら、F1.4~F2.8まで小さくすることができます。
ノーノちゃん
コヤくん
明るいレンズと言っても明るく写るわけではなく、取り込める光量が多いという意味になります。
2. F値の変化4つのポイント
F値が変化することで、写真に様々な効果や悪影響が出てきます。それらをまとめてみました。
「ボケ、被写界深度、シャッター速度、画質」の4つの変化についてそれぞれ説明していきます。
- ボケ
- 被写界深度
- シャッター速度
- 画質
①ボケ
F値を変化させることで、被写体前後のボケをコントロールすることができます。
F11に絞ると、手前から遠くまで広くピントを合わせることができ、ボケは出にくくなります。
絞りを開いてF2にすると、ピントが合う範囲が狭くなり、背景がボケやすくなります。
ノーノちゃん
コヤくん
ボケ写真の撮り方や単焦点レンズについてはこちらで解説しています。
初心者でも簡単にできるボケ写真の撮り方【作例あり】
センサーサイズでボケ味は異なる
同じF値であっても、イメージセンサーが大きいカメラで写すとボケ量は大きくなります。
フルサイズとAPS-Cの機種で、F1.8で撮影した写真を比較してみましょう。
この場面は2機種ともに同じ位置から撮影しています。
この場合、フルサイズはAPS-Cより焦点距離が長いレンズを使用することになります。
焦点距離が長いとピントが合う範囲が浅くなり、ピントが合わない部分が大きくボケることになります。
同じボケ量を得るためのF値
イメージセンサーごとに同じボケ具合になる、F値の相関図をまとめてみました。
ノーノちゃん
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②被写界深度
F値によって被写界深度の深さを変えることができます。
被写界深度以外のピントが合っていない範囲はボケるため、上記の「①ボケ」と似た意味合いがあります。
わかりやすい例として、メジャー(巻き尺)を使って近い距離からF値を変えて撮影してみました。
絞りを開いたF2.0では1cm程度の奥行き範囲しかピントが合わず、狙った位置にピントを合わせるのが難しくなります。
逆に絞ってF値を大きくすると、被写界深度は深くなっています。被写界深度以外の範囲もボケは弱くなっています。
実際の撮影では、被写界深度はこのように活用できます。
絞りを開くと被写界深度は浅くなり、背景をボカして被写体を浮き立たせることができます。
絞ると被写界深度は深くなり、被写体と背景をくっきりと写すことができます。
ただ被写界深度はF値だけでなく、ピントまでの距離やレンズの焦点距離によっても変化します。
- F値(絞り値)
- ピント位置まで距離
- レンズの焦点距離
さらに詳しい被写界深度の解説はこちらになります。
【被写界深度】とは?F値でピント範囲が変わる!
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③シャッタースピード
F値によってシャッタースピードを変えることができます。
絞りを開くとカメラに入る光量が増えてシャッタースピードが速くなります。逆に絞るとシャッタースピードは遅くなります。
※一眼レフはシャッターの前にミラーがあります。
実際の例ではこのように使うことができます。
1/15秒と手ブレしそうな遅いシャッタースピードでしたが、F5.6をF2.8に変更すると1/60秒へ速くなりました。
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④画質
F値を変えることで、画質にも影響があります。
ここではF値をF2~F22に変えて撮影した写真を比較してみます。
F2はややぼやけた画質になっていて、コントラストも落ちています。開放F値ではレンズの構造上、「収差(しゅうさ)」という現象が起きるために画質が低下します。
F5.6やF8に絞るとシャープになり、文字がくっきりと写っています。
F11はまだ目立つ画質低下はありませんが、F16から少しずつ画質低下が進み始めます。F22では大きく低下し、文字がぼやけたように写っています。
この絞り過ぎによる画質低下を「回折現象(かいせつげんしょう)」と言い、屈折した光の影響が大きくなるため画質が低下してしまいます。
画質変化のグラフ
以下はF値による画質変化をグラフで表したものになります。
これはある50mm単焦点レンズを例にしたグラフですが、このレンズの場合開放F値は解像度が低く、F5.6前後は解像度が高くなっていることがわかります。
一部で例外はありますが、多くのレンズはこのように開放では甘く、F5.6~F8に絞ると画質が良くなる傾向があります。
ノーノちゃん
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画質低下が起きる様々な原因はこちらで解説しています。
レンズの収差や回折現象とは?画質低下の原因を解説
3. レンズのF値確認方法
F値はレンズごとに、設定できる開放F値(最小のF値)が異なっています。
まだレンズのF値を把握していない場合は確認しておきましょう。
型番に記載
レンズの型番から開放F値を確認することができます。
レンズ本体
レンズの外側にも開放F値が記載されています。
単焦点レンズの場合
ズームレンズの場合
ズームレンズは広角側(ワイド端)と望遠側(テレ端)の2つのF値が書かれています。
ノーノちゃん
コヤくん
F値の計算方法や求め方はこちらで解説しています。
レンズのF値は何の数値?有効口径と焦点距離の比率
4. F値についてのまとめ
F値がわかるようになると、綺麗なボケ写真を撮れたり、遠くまでピントを合わせたり写真をコントロールすることができます。
関連するシャッタースピードやISO感度の知識も重要なので、一緒に覚えてみてください。
- レンズと絞りは目の働きと同じ
- F値が小さいほどボケやすくなる
- F値が小さいとシャッタースピードが速くなる
- F値はピントが合う被写界深度に影響する
- 後方まではっきり写したい場合は大きく絞る
シャッタースピードについてはこちらで解説しています。
シャッタースピードとは?目安と使い方をわかりやすく解説
ISO感度についてはこちらで解説しています。
ISO感度とは?目安の数値や設定方法をわかりやすく解説