三脚は夜景や花火撮影などで必須のカメラアイテムになります。
しかし一眼レフ初心者の方にとっては、自分のカメラに合う三脚がわからないことが多いです。
そこで、このページでは知っておきたい三脚の選び方と、評価の高いおすすめ三脚をご紹介しています。
ノーノちゃん
コヤくん
このページの目次
1. 三脚があるとこんな写真が撮れる
三脚はシャッタースピードが遅く、手持ちでは撮れない夜景撮影で活躍します。
撮影場所:中之島ガーデンブリッジ
花火撮影は長いシャッター時間となるため三脚が必要になります。
撮影場所:淀川花火大会
車のテールランプ・ライトの光跡撮影も、三脚があれば簡単に撮影できます。
撮影場所:梅田新歩道橋
鉄道や飛行機・野鳥・運動会などタイミングを待つ長時間撮影では、手持ちの負担を減らすことができます。
撮影場所:伊丹スカイパーク
シャッタースピードが遅くなる撮影方法だけでなく、精密に構図を決める場面でも三脚は活躍します。
またマクロ撮影や望遠撮影は手持ちだとブレを抑えるのが難しいため、三脚が有効になります。
2. 三脚の選び方
まず初めに三脚の各部名称をご紹介します。
三脚の各部名称
- 雲台(うんだい)
カメラを載せる台座で、角度や方向を決めて固定できます。 - センターボールストッパー
センターボールの高さを調整したときに締め付けるストッパーです。 - 開脚ストッパー
脚部の開脚角度を変えることができるストッパーです。通常より脚を広げて低い高さにできます。 - 脚部
材質にはアルミ製とカーボン製、ロックは3段式と4段式があります。 - センターポール
三脚の高さを調整するポールになります。エレベーター(EV)とも呼ばれます。 - 脚ロック
伸ばした脚部を固定するロックになります。レバー式とナット式があります。 - 石突(いしづき)
地面と接触するパーツです。通常はゴム製になります。
三脚は雲台と脚部で重いカメラを支えます。三脚に重量があるほど安定感はありますが、持ち運びは負担になります。
そのため、安定性と携帯性を同時に考えるのが選び方のポイントになります。
チェックポイントを順にご説明していきます。
耐荷重
メーカー仕様表の耐荷重は大きめに書かれています。
転倒のリスクを考えると、書かれている耐荷重の半分くらいの重さまでが安全と言われています。
三脚の耐荷重を分類するとこのようになります。
耐荷重 5kg以上 |
フルサイズ+重量級レンズ APS-C+重量級レンズ |
---|---|
耐荷重 3kg以上 |
フルサイズ APS-C |
耐荷重 1.5kg以上 |
APS-C マイクロフォーサーズ |
実際のモデルでの、ボディとレンズの組み合わせ重量はこのようになります。
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雲台の固定力
仕様表の耐荷重とは別に、雲台はカメラをしっかり止める固定力が重要になります。
カメラの重さに対して雲台の品質が悪いと、耐荷重の範囲であってもレンズの重さで徐々に下がってしまいます。
特に安価な雲台は固定力が弱いので、耐荷重に余裕を持たせるか品質のよい価格帯を選ぶことがポイントです。
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パイプ径
パイプ径もカメラの安定性に大きな影響があります。
カメラとレンズの重さによって適した太さがあり、一般的に使用される分類はこのようになります。
28mm以上 |
フルサイズ+重量級レンズ APS-C+重量級レンズ |
---|---|
25mm以上 |
フルサイズ APS-C |
20mm以上 | 入門機クラス |
耐荷重が5kg以上の大きな三脚でも、パイプ径が細いとたわみが起きやすくなります。
特に(三脚座のない)望遠レンズをつけると重心がレンズ付近に移動するため、支える脚の太さが重要になります。
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高さ
三脚はセンターポールを上げることでMAXまで高くすることができます。
ただセンターポールを上げるほどカメラの安定性が落ちてブレやすくなるため、少しの高さで微調整する使い方が一般的となっています。
以下は身長170cmの人物が、全高130cmの三脚を使ったイメージになります。
センターポールを少し上げると、ちょうどよくなります。
この例ではセンターポールを15cmほど上げ、カメラがアイレベルになる位置にしています。
センターポールを使わない全高の高さは三脚によって違いがあります。
トラベル用の小型三脚はだいたい120cm以下、大型三脚の場合は140cmや150cmなどの高さになっています。
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最低高
三脚を最も低くした高さを「最低高」といいます。
センターボールを取り外しできるタイプかどうかで最低高は大きく違ってきます。
写真のモデルはスリックの「ライトカーボンE73」で、最低高は30.2cmとなっています。
低い位置にある花の撮影ではローポジションで撮影する必要があり、このような撮影をする場合は最低高が重要になります。
段数の違い
三脚の脚の段数は3段タイプと4段タイプがあります。
3段
3段タイプは最下段の脚が細くなりにくく、4段に比べて安定性が高くなります。
またロック機構が1本の脚に2つなので伸縮がスピーディーに行えます。
ただ三脚を縮めたときの「縮長」がだいたい60cm~70cmと長くなるので、コンパクトな収納には向いていません。
4段
4段タイプは「縮長」を短くできるので携帯性が良くなります。
種類によりますが3段より縮長は10cm前後短く、旅行カバンにも収納しやすくなります。
デメリットとしては最下段の脚が細くなるので、3段に比べて安定性が劣ります。
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ロック方式
脚のロック方式には、レバー式とナット式の2タイプがあります。
レバー式
レバー式はロックと解除の状態がひと目でわかるので、初心者にも適しています。
レバー式は使用頻度が多いと締め付けがゆるくなることがあります(三脚によっては六角レンチなどで締め付けができます)。
ナット式
ナットは何周も回す必要はなく、半回転程度でロックと解除ができます。
伸縮時に2段や3段のナットを同時につかんで回すことで、スピーディーに設置作業ができます。
また耐久性でレバー式より有利とされています。
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素材
脚の素材は「アルミ」と「カーボン」の2タイプがあります。それぞれ以下のような特徴があります。
アルミ
- コストが安い
- カーボンより重い
アルミはコストが安く低価格帯モデルから採用されています。カーボン三脚より重くなります。
持ち運びにはデメリットですが、ネイチャー撮影など足場が悪かったり風が強い場所では重いアルミが有利になります。
アルミ素材は触れると夏は熱く、冬は冷たいのでウレタングリップ付きの三脚が多く発売されています。
カーボン
- アルミより軽い
- 振動がおさまりやすい
- コストが高い
カーボンは剛性が高く、振動がおさまりやすい特徴があります。またアルミ三脚より2~3割軽くなります。
ただ価格は高く、パイプ径の細いタイプで2万円前後、高級モデルでは10万円前後の三脚もあります。
カーボン素材は衝撃に弱く、強くぶつけると割れてしまうため取扱いには注意が必要です。
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3. 雲台について
雲台の選び方によって使い勝手が大きく異なります。
ここからは雲台の種類や使い方について解説しています。
自由雲台と3way雲台
雲台の主な種類には「自由雲台」と「3Way雲台」の2タイプがあります。
自由雲台
- レバー操作で全方向に動かせる
- 雲台はコンパクトで軽量
- 収納しやすい形状
自由雲台はレバー操作で瞬時に構図を変えたい場合や、動きのある被写体に向いています。
3way雲台のような「上下角度のみ動かす(チルト)」、「水平のみ動かす(パン)」という動作はできません。
■多機能自由雲台
多機能自由雲台は通常の自由雲台にない機能があります。
- 水平パンだけの動作ができる
- ボールの動きの固さを調整できるフリクションコントロール
水平パンがあると、3wayのように左右にカメラを振ることができます。
フリクションコントロールはレバーをゆるめた際にカメラが急に傾くのを防ぎます。
3Way雲台
- 上下・水平・斜めを個別に操作できる
- 雲台が重い
- ハンドルがあるので収納しにくい
3Way雲台は上下角度・水平・斜め(縦構図)を、個別に片手で操作できます。
1つの動きごとに微調整できるので、風景やテーブルフォトなどで精密な構図合わせができます。
また自由雲台より雲台部分が重くなること、ハンドルがあるため収納に手間がかかるデメリットがあります。
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取り付け方式
雲台への取り付けにはネジ式とクイックシュータイプがあります。
ネジ式
カメラを傾けて底部のネジ穴を合わせ、雲台のネジを回して取り付けるタイプになります。
ネジ式はクイックシューのような別途部品がないのでシンプルに使用できます。
ただ近年はクイックシュータイプの雲台が人気のため、ネジ式雲台は少ない傾向にあります。
クイックシュー式
クイックシュープレートをカメラ底部に取り付けておけば、移動しながら何度も三脚を使用する場面で設置作業が楽になります。
プレートのネジ締めはコインが必要になる種類があり、好みに合うか購入前に確認が必要です。
ノーノちゃん
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アルカスイス互換についてはこちらで解説しています。
メリットが多いアルカスイス互換クイックシューとは
雲台の交換方法
三脚の雲台は取り外して別の雲台に交換することができます(低価格モデルでは交換できない一体型あり)。
雲台はズシリと重いので、回した際に落下しないよう慎重に取り外します。
取り付けたい雲台が3/8インチネジ穴の場合は、ネジ変換アダプターを使うことで取り付けが可能になります。
もし雲台だけが好みでない三脚を購入しても、あとで希望の雲台に買い替えることができます。
雲台にも耐荷重があるので、購入時は耐荷重を参考にしながら自由雲台か3way雲台、またネジ式かクイックシューかを選びます。
3/8インチ(太ネジ)の場合
三脚側が3/8インチ(太ネジ)であるのは、海外製の三脚や国内メーカーの上位モデルで採用されています。
この場合は1/4インチ(細ネジ)穴の雲台は取り付けできません。
購入する場合は自分の三脚のネジが1/4インチである必要があります。
4. 用途別おすすめ三脚
ここでは目的に合わせたおすすめ三脚をご紹介しています。
安価なモデルからフルサイズ一眼にも対応できるモデルまで、売れ筋の人気三脚を集めました。
お手頃ファミリー向け三脚
SLIK GX 6400
国内メーカースリックのファミリー向けモデルです。軽量化しながら高さを確保していて、縮長47cmのコンパクトさも特徴です。
(※一体型のため雲台交換はできません)
スタンダード三脚の人気モデル
SLIK スプリント PRO II 3WAY
軽量化とアルミダイカストによる剛性強化が特徴の三脚です。高さを確保しながら縮長47cmのコンパクトさも特徴です。
ベルボン Sherpa 535 III
ベルボン製の中小型スタンダード三脚になります。Sherpaシリーズはパイプ径23mm~29mmまでラインナップされています。
トラベル用高性能三脚
スリック エアリーL100
縮長41.7cmのコンパクト収納が可能なエアリーシリーズの三脚になります。全高の違いで「M100」「S100」もラインナップしています。
※Amazonでは予備クイックシュー有りタイプが販売されています。
Manfrotto Befree カーボン・アルミ
人気のマンフロット「befree」シリーズの三脚です。折りたためるコンパクトさと軽さが特徴です。
素材はカーボンとアルミ、ロックなレバーとナット、段数は4段と5段があり、ラインナップが豊富になっています。
またソニーαシリーズ専用プレートタイプもあります。
マンフロット befree GT カーボン
「befree」シリーズの弱点であったパイプ径を25mmに太くし、センターポールなしでも138cmを確保できるハイエンドタイプになります。
Velbon ウルトラロック UT-63
ベルボン自慢の、驚異の折りたたみ三脚ウルトラロックシリーズです。縮長36cmと非常にコンパクトで旅行バッグにも収まります。
パイプ径は21mm~30mmまでラインナップされています。
剛性の高い中級機対応モデル
SLIK ライトカーボン E74
スリックのカーボン三脚になります。様々なパイプ径を選択でき、軽さと剛性のバランスが良いモデルです。
E74・E73はセンターポールなしの全高が140cmを確保していて、センターポールなしでも使いやすくなっています。
パイプ径は19mm~28mmまでラインナップされています。(自由雲台タイプのライトカーボンE74 FAもあります)
Velbon Geo Carmagne E645M II
大口径ズームレンズ・中判カメラにも対応できるベルボンのカーボン三脚になります。
高級三脚ですが軽量金属マグネシウムの使用で軽量化されています。
Manfrotto 190シリーズ カーボン
マンフロット製、耐荷重7kgのカーボン三脚です(※雲台別売)。
フルサイズに対応し、雲台なしで全高135cmと高さを確保しています。アルミタイプも販売されています。
最高級クラス
GITZO マウンテニア 2型 カーボン GT2542
一生モノとも言われるジッツオの高級三脚になります(※雲台別売)。剛性の高さはもちろん、デザイン性も評価されています。
この2型は耐荷重18kg、雲台なしの全高152cmと高さを確保しています。シリーズには軽量の1型やトラベル向けの0型もあります。
ミニ三脚
Manfrotto ミニ三脚 PIXI
置き場所があれば手軽に三脚撮影ができるミニ三脚です。
PIXIは耐荷重1kg、本体は230gで小型の一眼レフ程度までは対応できます。カラーはブラック・ホワイト・レッドが用意されています。
Manfrotto ミニ三脚 PIXI EVO
一眼レフを想定して耐荷重2.5kgまで対応したPIXI EVOになります。
雲台部には取り付けネジがあり装着しやすくなっています。
使用頻度が多いなら上位クラスを
三脚は価格帯によって品質の差があります。
安価な三脚では固定に何周もツマミを回す必要があったり、望遠レンズがおじぎをするなど使い勝手が悪いことがあります。
もし三脚を使った写真をたくさん撮りたいなら、初めから品質の良いクラスをおすすめします。
ただまだ撮るものが決まっていない場合は、安価なクラスから試すのもよいと思います。
ノーノちゃん
コヤくん
5. 三脚の選び方についてのまとめ
三脚はカメラの重さに合わせるのはもちろん、何を撮るかによっても適した種類は異なります。
三脚は写真を楽しくしてくれるアイテムなので、じっくりと自分に合う三脚を探してみてくださいね。
- 耐荷重はメーカー記載の1/2程度
- 望遠レンズをつかう場合は余裕のあるパイプ径を
- 身長よりマイナス30cmの高さ以上あれば撮影しやすい
- 持ち歩きが多い場合は4段
- 自由雲台と3Way雲台は用途や好みで選択
- 雲台は取り替えができる
- 長く使うなら上位モデルがおすすめ
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