花火撮影では「いい場所が取れなかった」「風下で全く撮影できなかった」というような失敗を経験したことはないでしょうか?
実は花火はタイミングに合わせてシャッターを切るだけなので難しくありません!
また事前の準備も重要になるので、このページでは用意しておく物から撮り方のテクニックまでをご紹介しています。
ノーノちゃん
コヤくん
このページの目次
1. 花火の作例
一眼レフやミラーレスを購入したら初心者でも撮ってみたくなるのが花火です。
上級者でなくても、上手くタイミングが合えば夜空を彩る美しい花火写真を撮ることができます。
ノーノちゃん
コヤくん
2. 準備するもの
花火撮影で準備するものはこのようになります。撮影機材の準備と、花火会場で便利な準備品があります。
カメラの準備
レンズ
レンズは打ち上げ地点との距離で選びます。
- 観覧席などの近距離:広角ズーム(焦点距離24mm程度)
- 500m~1km:標準ズーム
- 2km:望遠ズーム
- 全てに対応:高倍率ズーム
カメラ付属のダブルズームキットがあれば、たいていの距離は対応できます。
高倍率ズームレンズは、1本で広く写る広角~望遠までに対応できて便利です。
焦点距離についてはこちらでまとめています。
レンズの焦点距離・画角をわかりやすく解説
三脚
三脚のタイプには自由雲台と3way雲台があります。
どちらでも使用できますが、3way雲台は片手で上下に動かすことができるので便利です。
- 自由雲台:両手操作(片手でカメラを支える必要あり)
- 3way雲台:片手操作
詳しくは「雲台について」で解説しています。
リモート機器
手ぶれ防止のためレリーズケーブルやリモコンを使用してシャッターを切ります。
それぞれの機種に対応したものがメーカーから発売されています。
スマホからのリモート操作
入門機の一部はレリーズケーブル・リモコンともに非対応で、スマートフォンからのWiFiリモート操作のみの対応となっています。
その場合メーカーの専用アプリを起動し、スマホからシャッター操作を行います。
記録メディア
花火撮影では200~500枚程度の容量があれば大丈夫です。
予備バッテリー
長時間シャッターを行うとカメラのバッテリーの消費が大きくなるので、予備バッテリーがあると安心です。
NDフィルター
連発の花火は明るく白飛びしてしまうのでNDフィルターを付けて撮影します。特にクライマックスに役立ちます。
※NDフィルターの使い方は下の項目で解説しています。
会場での便利グッズ
打ち上げ地点に近い位置で場所取りをする場合は日陰のない炎天下で数時間待機することになります。
そのためアウトドアグッズを用意しておきます。
レジャーシート | 荷物置き場として、また地面が湿っている場合でも防水素材のシートなら敷くことができます。 |
---|---|
携帯チェア | レジャーシートのまま座るとお尻が痛くなるので、折りたたみ椅子や携帯用腰掛け、クッションシートなどを用意します。 |
帽子・タオル ・日傘 |
熱中症予防のため帽子やタオル、日傘を用意しておきます。また小型のハンディ扇風機も便利です。 |
虫除けスプレー | 河原などは蚊が多いので携帯用の虫除けスプレーを用意します。 |
ミニ懐中電灯 | スマホのライトでもよいですが、暗い中なのでサッとライトをつけられるミニ懐中電灯があると便利です。 |
水分・食べ物 | 場所を確保する前に多めの水分と食べ物を用意しておきます。水分はOS-1などの経口補水液もあるとよいです。 |
雨具 | 急な天気に備えて折りたたみ傘(日傘にもなる)やレインコートを用意しておきます。 |
ノーノちゃん
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3. 花火大会の下調べ
花火を撮影するポイントと当日の風向きを下調べしておきます。
撮影ポイントを決める
花火大会の公式ホームページがあれば、打ち上げ地点と撮影可能エリアを把握しておきます。
風向きを調べる
花火は煙が出るため、撮影は風向きを考える必要があります。
風対策として、「SCW-天気予報」というサイトで詳しい風向き予測を見ておきます。
詳しい風向き予測はこちら
参考
SCW-天気予報スーパーコンピュータが予測する天気予報
SCW-天気予報の見方
風の強さは「紫→青→緑→黄→橙→赤」の順に強くなります。
この風向き予測を見て、風下に入らない撮影ポイント場に決めます。
あらかじめ撮影ポイントを南北や東西など2か所を決めておくと、当日がどの風向きになっても対応しやすくなります。
ノーノちゃん
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4. 花火撮影の基本設定
撮影モード | バルブ |
---|---|
F値 | F11~F16(状況により変更) |
ISO感度 | 100 |
ホワイトバランス | 電球・蛍光灯・太陽光(晴れ)(好みで選択) |
フォーカスモード | AF→MF |
手ブレ補正 | OFF |
長時間露光時のノイズ低減 | OFF |
画像サイズ | L |
※画面はニコン機になります
それぞれの設定を解説していきます。
撮影モード
- バルブ
撮影モードダイヤルを「マニュアルモード」に設定し、シャッタースピードを30秒より遅くすると「バルブ」が表示されます。
F値
- F11~F16
(マイクロフォーサーズ機はF16)
基本はF11ですが連発系の明るい花火はF16やF22などに絞って撮影します。
最低ISO感度が200となるマイクロフォーサーズ機は1段絞ったF16を基準に設定します。
F値についてはこちらで解説しています。
F値(絞り値)とは?使い方を超初心者向けにわかりやすく解説
ISO感度
- ISO100
(マイクロフォーサーズ機は200)
ISO感度は最低感度に設定します。
ISO感度についてはこちらで解説しています。
ISO感度とは?目安の数値や設定方法をわかりやすく解説
ホワイトバランス
- 電球・蛍光灯・太陽光(晴れ)
近年は青・緑・赤など色鮮やかな花火が増えていて、このような花火は「電球」「蛍光灯」に合わせると色鮮やかになります。
ホワイトバランスについてはこちらで解説しています。
【ホワイトバランスとは?】色温度を変えるだけで写真が綺麗に!
フォーカスモード
- AF→MF
撮影場所でAFで風景にピント合わせ、MFに切り替えて撮影します。
手ブレ補正
- OFF
三脚を使用する場合は手ブレ補正をOFFにします。
長時間露光時のノイズ低減
- OFF
長時間露光時のノイズ低減はONだとシャッター後に処理時間がかかるためOFFにします。
画像サイズ
- L(最大画素数)
画像サイズは主に「L・M・S」の3種類があります。
花火では撮影後にトリミング(切り取り)することがあるため最大画素数の「L」にしておきます。
ノーノちゃん
次は花火会場での流れをご紹介します。
コヤくん
5. 当日の流れ
ここからは花火大会当日の動きになります。
花火会場へ
まず上記のカメラの設定をしておきます。
準備を整え、風向きも大丈夫であれば撮影スポットへ向かいます。
打ち上げの1~2時間前にはすでに多くの人が集まっています。
見通しのいい場所から順に場所取りが始まるので、早めに現地に着いて場所取りをしておきます。
レジャーシートを敷いて場所を確保します。
場所取りの後、荷物を置いて離れる場合はトラブルになりやすいので注意が必要です。
ノーノちゃん
混雑が少ない、離れた場所から始めてみるのもよいと思います。
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三脚設置
三脚は後ろにいる観覧者の邪魔にならないよう注意します。
河原では土手の斜面に場所を取ると、以下のメリットがあります。
- 前を人が通っても写り込みにくくなる
- 背後の人にも邪魔になりにくい
ただ、斜面なので設置は注意して行います。
斜面の上側を短く、斜面の下側を長くして安定させます。
三脚に水準器があれば水平に設置できているか確認できます。
カメラを斜面の下方向(川方向)に向ける場合は、斜面下側の脚を1本にすると安定します(2本だと倒れやすくなります)。
設置後は倒れないバランスになっているか確認しておきます。
ピント合わせ
三脚を後ろの人の邪魔にならない高さに調整し、カメラを設置します。
花火の位置を予想しながらズームして焦点距離を合わせます。
この例では35mm(換算52mm)の位置になっています。
次にその焦点距離のまま、遠い風景や光源をAFで撮影し、MFへ切り替えます。
ライブビューで拡大させるとピント具合が確認できます。
1枚撮影してピントが合っていることを確認したら、フォーカスをMFへ切り替えておきます。
これでどの花火を撮影してもピントが合うようになります。
リモート機器の準備
レリーズケーブルをカメラに接続します。
端子カバーを開きレリーズケーブルを差し込みます。
リモコンの場合はカメラでリモコンを使う設定を行います。
ドライブモードやメニュー画面からリモコン使用の設定ができます。
またスマホの遠隔シャッターを使う場合は、専用アプリを立ち上げてシャッター画面を表示しておきます。
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6. 撮影手順
ここからは花火の撮り方をご説明します。
撮影開始
いよいよ花火が打ち上がります。
連続の明るい花火はF値をF22などに大きくする必要があります。
しかし瞬時の変更はできないのでこのような失敗写真も撮れてしまいます。
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花火の撮影方法とシャッター時間
花火はバルブ撮影でシャッターを切ります。
シャッターを開く
打ち上がり始めたらシャッターボタン(レリーズケーブルのボタン)を押します。
押し続ける
花火が開きますが、まだ押し続けます。
シャッターを閉じる
花火が消えるタイミングでシャッターボタンを離して撮影完了です。
シャッターを押している(シャッターを開いている)時間は単発なら5秒~10秒程度になります。
打ち上がってすぐにシャッターを押すことで、昇り火の軌跡を写すことができます。
もし花火が開いてからシャッターを押すと下のような写真になります。
すぐに2発目も上がっていればシャッターを押し続け、2つの花火を写すことができます。
ただ複数の花火はF22などに絞らないと露出オーバーしやすくなります。
ノーノちゃん
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7. 花火撮影3つのポイント
花火撮影は、失敗すると取り返しが付かなくなります。
通常と違い、同じ場所で撮るには来年まで待たないといけません。
失敗しないようにポイントを抑えておくことが重要です。
- 連発系の花火
- 構図の決め方
- NDフィルター(中級者向け)
①連発系の花火
連発系の花火は明るいので、単発花火と同じ撮り方をすると露出オーバー(明るくなり過ぎる状態)になってしまいます。
この場合はシャッター時間をかなり短くするか、操作でF値をF22などに大きくしてから撮影します。
シャッター時間を短くすることで光量を抑えることができますが、花火の軌跡は短く写ることになります。
もしF値を大きくして絞っていれば、シャッター速度をもう少し長くできるので軌跡も長く写すことができます。
ノーノちゃん
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基本のF値はF11程度ですが、F16など絞っておくと複数の花火がちょうどよい明るさになります。
※ただF16でも連続花火の数が多い場合は露出オーバーになります。
②構図の決め方
花火撮影で難しいのが構図です。大きさの異なる花火が、低い位置や高い位置で開くため構図に入らなくなります。
花火の種類について
参考
日本の花火花火玉の大きさのいろいろ
大玉に合わせて広く写すと5号玉などは小さく写り、逆に小さい花火にズームすると大玉が入らなくなってしまいます。
そのため、どちらかに絞って構図を決めます。
広めの構図
基本は広めの構図がおすすめです。
花火が小さく写っても、パソコンやカメラの編集画面でトリミング(切り抜き)を行い、大きくすることができます。
このトリミングで元画像の2400万画素から約400万画素の写真になりました。
それでも写真の横幅は2000pixel以上あるのでパソコンモニターでは十分綺麗に見ることができます。
ノーノちゃん
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また、カメラの再生画面からでもトリミング編集をすることができます。
ズームアップ構図
ズームして迫力ある大きな花火にする構図もあります。
縦構図
単発の花火を昇り火から移す場合は、縦構図が適しています。
または横構図の写真をトリミングで縦構図にする方法もあります。
ズームしたらピント合わせ
ズームで構図変更をした後は再度ピント合わせが必要になります。
MFのままで遠くの光源にピントを合わせるか、AFに切り替えて光源や打ち上がる花火にピントを合わせてからMFに戻して撮影を行います。
③NDフィルター(中級者向け)
NDフィルターとはサングラス替わりのような薄いレンズで、光量を減らす効果があります。
NDフィルターの色の濃さは多数の種類がありますが、花火ではND4やND8という種類が使用されます。
- 複数の花火でも露出オーバーが起きにくい
- 画質低下を防げる
連続花火は明るいのでF値を22などに大きく絞りますが、それでも露出オーバーになりやすいです。
そこでNDフィルターをつけると、物理的に花火の光量を抑えるので露出オーバーを防ぐことができます。
もしこの写真をNDフィルターなしで撮るにはF32まで絞る必要がありますが、F値が大き過ぎるためボンヤリした画質になってしまいます。
NDフィルターがあれば大きなF値にしなくてよいので、綺麗な画質で写すことができます。
■その他NDフィルターを使った作例
※明るさ調整・トリミングあり
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NDフィルターの仕組み
例えばND4を付けた場合は光量が2段分弱くなります。
「F11+シャッター時間5秒」で写す花火と、ND4を付けて「F5.6+シャッター時間5秒」で写す花火は同じ明るさになります。
このように低いF値から撮影できることが特徴です。
ND8の場合は、光量が3段分弱くなります。例えば通常「F16」で撮影する明るさは「F5.6」でよいことになります。
単発だと暗く写ることも
NDフィルターをつけて複数の花火の明るさに合わせている場合、単発の花火が上がると光量不足で暗く写ってしまいます。
ただ暗く写っても、画像編集ソフトで明るく修正することは可能です。
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NDフィルターの選び方
濃度
NDフィルターは濃度別に種類があり、花火撮影ではND4またはND8を使用するのが一般的です。
どちらを選んでも花火の明るさはF値で調整します。
- ND4使用時のF値:F8~F11
- ND8使用時のF値:F5.6~F8
口径サイズ
NDフィルターは装着するレンズと同じ口径サイズのものを選びます。
レンズの前面や側面などに「Φ○○」という表記があれば口径サイズになります。
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8. 花火の撮り方まとめ
花火撮影はカメラのテクニックだけでなく事前の準備が重要になります。
準備は大変ですが、抑えるポイントは決まっているので出発までに揃えれば大丈夫です。
花火の撮影は初めは難しいですが、慣れてくるといい写真が撮れるのでぜひチャレンジしてみてください。
- レンズは標準ズームレンズか望遠レンズがあればOK
- 三脚は必需品なので用意しておく
- 撮影にはリモート機器でシャッターを切る
- 撮影ポイントはネットで情報を集めよう
- 天気予報で風向きチェックも必要
- ピント合わせは遠くに合わせてMFに切り替える
- シャッターのタイミングは打ち上がってすぐに開始
- 連続で上がる花火は露出を暗くする
- クライマックスなどの明るい連続花火はNDフィルターを使う
花火撮影では便利な三脚選びも重要になります。
おすすめ三脚の選び方(一眼レフ・ミラーレス向け)