キヤノンから一眼レフ「EOS Kiss X10i」が発売されました。
このページでは旧モデルEOS Kiss X9iからどう進化したのか、違いを比較しています。
ノーノちゃん
コヤくん
このページの目次
1. 外形寸法
サイズはEOS Kiss X10iがわずかに高いだけで、横や奥行きは全く同じサイズとなっています。
重さはEOS Kiss X10iが17g軽くなっています。
ノーノちゃん
コヤくん
2. 発売日と価格
2機種の発売日と相場はこのようになります。
前モデルからちょうど3年経って後継機が発売されたことになります。
- EOS Kiss X10i:2020年6月25日
- EOS Kiss X9i:2017年4月7日
3. 外観の違い
EOS Kiss X10iはどの部分が変わったのか、まずは外観の違いをご紹介します。
X10iはミドルクラスのような操作性に向上していました。
AF-ONボタン
エントリー機ではまず設置されることのない、AF-ONボタンがX10iでは設置されました。
キヤノンのエントリー機で親指AFを使うにはグリップした際の親指に近いAFエリアボタンを利用することになります。
しかしAFエリア選択は重要なので、AEロックボタンにAFエリア選択を割り当てるカスタマイズまで行なっているユーザーが多かったと思います。
今回のAF-ONボタン設置により面倒なボタン入れ替えは不要になりますし、設置された位置も押しやすくなるメリットがあります。
サブ電子ダイヤル
AF-ONボタンに続き、こちらも中級機以上で設置されているサブ電子ダイヤルが使えるようになりました。
例えばEOS 80Dではサブ電子ダイヤルを回すとダイレクトに露出補正ができて便利です。
小型のダイヤルでコンパクトカメラ感はありますが、メリットは大きくなっています。
廃止されたボタン
EOS Kiss X9iにあった絞り数値/露出補正ボタンは、サブ電子ダイヤルによって廃止されました。
またスマートフォンとのWi-Fi接続で使用したWi-Fiボタンが省略されています。 X10iのWi-Fi機能は継続して用意されていて、ブルートゥース接続も可能となっています。
ノーノちゃん
コヤくん
4. EOS Kiss X10iの進化ポイント
EOS Kiss X10iは操作面だけでなく、カメラ性能も向上させています。
中級機に近い性能も多くなっているので順にご紹介します。
映像エンジン
- EOS Kiss X10i:DIGIC 8
- EOS Kiss X9i:DIGIC 7
カメラの頭脳といえるX10iの映像エンジンは、DIGIC 8へ進化しました。
処理能力が高くなったことで画質や連写速度、動画性能を向上させています。
X10iのイメージセンサーは2,410万画素のCMOSセンサーとなっていて、画素数はほぼ同じとなっています。
顔検知
出典:キヤノン公式サイト
- EOS Kiss X10i:EOS iTR AF(顔優先)
- EOS Kiss X9i:色検知AF
X10iは先に発売されたEOS 90Dで採用されたEOS iTR AF(顔優先)が使えます。
EOS iTR AFは光学ファインダーで人物の顔を検知してくれる便利な機能になります。
X9iには色検知AFがついていて、人の肌色にフォーカスを合わせてくれる機能がありましたが、顔検知の方がよい正確と思われます。
瞳AF
出典:キヤノン公式サイト
- EOS Kiss X10i:瞳AF(ライブビュー時)
- EOS Kiss X9i:なし
X10iはライブビュー時に瞳AFが使えるようになりました。
こちらも90Dに続いて快適なライブビュー撮影ができる仕様になっています。
測光センサー
- EOS Kiss X10i:約22万画素RGB+IR測光センサー
- EOS Kiss X9i:約7560画素RGB+IR測光センサー
X10iは測光性能を上げていて、顔検知や被写体の認識、また露出の精度を高めています。
この約22万画素RGB+IR測光センサーも90Dと同じ性能となっています。
連写
- EOS Kiss X10i:最高約7.0コマ/秒
※高速連続撮影時約7.5コマ/秒
(ライブビュー時はサーボAFで約4.5コマ/秒) - EOS Kiss X9i:約6.0コマ/秒
(ライブビュー時はサーボAFで約4.5コマ/秒)
X10iの連写速度は最高約7.0コマ/秒となっていて、これはEOS 80Dなどと同じ速度で中級機とも言える性能になります。
X9iの約6.0コマ/秒もエントリー機としては速い仕様でしたが、さらに向上しました。
バッファ
- EOS Kiss X10i
JPEGラージ/ファイン:約170枚
C-RAW:約75枚
RAW:約40枚
RAW+JPEGラージ/ファイン:約35枚
(ライブビュー時はサーボAFで約4.5コマ/秒) - EOS Kiss X9i
JPEGラージ/ファイン:190枚
RAW:約21枚
RAW+JPEGラージ/ファイン:約19枚
X10iはバッファ容量が変化していて、JPEGのみだと減少していますがRAWを含む連写は長く続けることができます。
中級機であるEOS 80Dや90Dはバッファが小さめでRAWは連続撮影20枚程度となっていますが、X10iはRAWで約40枚まで連写することができます。
連写速度、そしてどの測距点でも精度が高いオールクロス45点AFセンサーを組み合わせることで、エントリー機でありながら動く被写体の撮影を楽しむことができます。
測距輝度範囲
- EOS Kiss X10i
ファインダー:EV-3~18
ライブビュー:EV-4~18 - EOS Kiss X9i
ファインダー:EV-3~18
ライブビュー:EV-2~18
測距輝度範囲は両機ともにエントリー機としては優れた性能ですが、X10iのライブビュー時は「EV-4」と大幅に向上しました。
暗い場所でピントが合いにくい場合は、ライブビューに切り替えると合いやすくなります。
動画
出典:キヤノン公式サイト
- EOS Kiss X10i:4K24p・フルHD60p
- EOS Kiss X9i:フルHD60p
X10iは4K動画に対応し、高精細な映像を記録することができます。
ただ4K動画時はコントラストAFとなるため、動く被写体のピント合わせが遅れやすくなります。
撮影可能枚数
- EOS Kiss X10i:
ファインダー:約800枚
ライブビュー:約310枚 - EOS Kiss X9i:
ファインダー:約600枚
ライブビュー:約270枚
バッテリーは両機ともにLP-E17ですが、X10iは撮影枚数が増えています。
全体的に2割ほど増加していて、省電力化が進められています。
ただライブビューのみを使うと撮影枚数はあまり多くありません。X10iはライブビューが強化されていますが常用する場合は注意が必要です。
5. 変わらない部分・不満点
X10iのスペックでX9iと変わらない部分もあるのでまとめてみました。
ファインダー性能
X9iのファインダー倍率は0.82倍(換算0.51倍)となっていて、エントリー機としてもかなり小さく見える仕様となっています。
むしろ下位モデルEOS X10の方が0.87倍(換算0.54倍)で少し大きくなっています。この点は改善を期待しましたが変更はなかったようです。
測距点
出典:キヤノン公式サイト
両機ともに最大45点の測距点でオールクロス45点AFセンサー仕様となっています。
これはエントリー機としては高い性能で、初心者の方が動体撮影にチャレンジしても撮影を楽しむことができます。
※装着するレンズによって測距点数は変化します。例えばキットレンズの「EF-S18-55mm F4-5.6 IS STM」の場合、クロス測距は中央部のみとなります。
詳細は公式サイトで掲載されています。
ISO感度
X10iは映像エンジンが新しくなりましたが、ISO感度の仕様は「常用: 100-25600、拡張: 51200」と変化はありませんでした。
実際の高感度画質はまだわかりませんが、大きな進化はないかもしれません。
液晶モニター
液晶モニターは両機とも3インチ (104万ドット)、クリアビュー液晶II仕様となっています。
解像度は標準的ですが、キヤノンの液晶モニターは綺麗との評価が多く、十分なスペックかと思います。
バリアングルモニターなので自撮りや様々な角度でも液晶モニターを確認することができます。
電子シャッター
X10iはライブビューが進化しましたが、電子シャッター(サイレントシャッター)には非対応でした。
上位機のEOS 90Dはライブビュー時の電子シャッターに対応しましたが、X10iでは採用されなかったようです。
リモート操作
両機ともに、リモートスイッチのRS-60E3、ワイヤレスリモコンのBR-E1またはRC-6に対応しています。
三脚を使った長時間露光の際に使うリモート機器は買い替えせずにそのまま使うことができます。
ノーノちゃん
コヤくん
6. 上手な選び方のポイント
EOS Kiss X10iと、旧モデルのEOS Kiss X9iを検討している方に、選び方のポイントをまとめてみました。
EOS Kiss X10i
EOS Kiss X10iは操作性、連写速度や瞳AFなど機能を大幅に向上させた多機能な一眼レフとなっています。
このシリーズはコンパクトボディで動体撮影もできるエントリー機の位置づけでしたが、この進化で中級機に近づいたカメラとなっています。
キヤノンではエントリー機としてミラーレスのEOS Kiss Mがありますが、一眼レフで選ぶ場合はこのEOS Kiss X10iが有力候補になると思います。
EOS Kiss X9i
EOS Kiss X9iは1世代前のモデルになりますが、動体撮影もできるエントリー機になります。
瞳AFなどの最新機能はありませんが、デュアルピクセル CMOS AFやオールクロス45点AFセンサー、バリアングル液晶などの基本性能はX9iにも備わっています。
旧モデルのため相場価格が下がっています。そのため低予算で買える一眼レフをお探しの方には適しています。
7. 性能比較表
EOS Kiss X10iとEOS Kiss X9iを比較した一覧表になります。
機種名 | EOS Kiss X10i | EOS Kiss X9i |
---|---|---|
発売時期 | 2020年6月下旬 | 2017年4月7日 |
マウント | キヤノンEFマウント | |
イメージセンサー | APS-C | |
画像処理エンジン | DIGIC 8 | DIGIC 7 |
画素数 | 2410万画素 | 2420万画素 |
ダスト除去 | ◯ | |
ISO感度 | 100~25600 (拡張:ISO51200) |
|
測光センサー | 約22万画素RGB +IR測光センサー |
約7560画素RGB +IR測光センサー |
AF方式 | デュアルピクセルCMOS AF方式 | |
測距点 | 最大45点(クロス測距点:最大45点) | |
測光輝度範囲 | ファインダー時:EV-3~18 ライブビュー時:EV-4~18 |
ファインダー時:EV-3~18 ライブビュー時:EV-2~18 |
シャッタースピード | 1/4000-30秒、バルブ | |
電子シャッター | – | |
瞳AF | ◯ ※ライブビュー時 |
– |
連写 | 最高約7.0コマ/秒 ※高速連続撮影時約7.5コマ/秒 (ライブビュー時はサーボAFで約4.5コマ/秒) |
最高約6.0コマ/秒 (ライブビュー時はサーボAFで約4.5コマ/秒) |
低速連写 | 約3.0コマ/秒 | |
連続撮影枚数 | JPEG170枚・RAW40枚 ・C-RAW75枚 ・RAW+JPEG35枚 |
JPEG190枚・RAW21枚 ・RAW+JPEG19枚 |
ピーキング | ◯ (MFピーキング可能) |
– |
液晶モニター |
ワイド3.0型/ 約104万ドット バリアングルモニター |
|
タッチシャッター | ◯ | |
高輝度側・階調優先 | ◯ | |
防塵防滴 | – | |
フラッシュ同調速度 | 1/200秒 | |
水準器 | ◯ | |
カメラ内RAW現像 | ◯ | – |
フリッカーレス撮影 | ◯ | |
レリーズケーブル(別売) | RS-60E3 | |
ワイヤレス リモコン(別売) |
BR-E1、RC-6 | |
Wi-Fi | ◯ | |
bluetooth | ◯ | |
カードスロット | シングルスロット SDXC UHS-I |
|
Eye-Fiカード | 非対応 | 対応 |
USB端子 | Micro USB Type-B | Hi-Speed USB相当 (Mini USB) |
USB充電 / 給電 | – / – | |
インターフェイス | マイク HDMIミニ(タイプC) リモコン端子 |
|
外形寸法(mm) | 131.0(幅) 102.6(高さ) 76.2(奥行) |
131.0(幅) 99.9(高さ) 76.2(奥行) |
重さ(バッテリー、 メモリーカード含む) |
約515g | 約532g |
撮影可能枚数 | ファインダー:約800枚 ライブビュー:約310枚 |
ファインダー:約600枚 ライブビュー:約270枚 |
バッテリーパック | LP-E17 |
機種名 | EOS Kiss X10i | EOS Kiss X9i |
---|---|---|
記録方式 | MP4 | |
圧縮形式 | MPEG-4 AVC/H.264 | |
内蔵マイク | ステレオ | |
音声記録方式 | AAC | |
AF方式 | デュアルピクセルCMOS AF方式 4K動画:コントラスト検出方式 |
デュアルピクセルCMOS AF方式 |
動画記録 | 4K24p フルHD60p タイムラプス動画 |
フルHD60p タイムラプス動画 |
動画電子手ブレ補正 | ◯ | |
動画撮影可能時間 | 約2時間30分 | 約1時間55分 |
8. まとめ
ここ数年ミラーレスが増加している中で、一眼レフのEOS Kiss X10iが登場しました。
先に発売されたEOS 90Dと同じく、ミラーレスの機能を取り入れた一眼レフへ進化しています。
バッテリーのもちではまだ一眼レフに優位性があり、瞳AFにも対応したEOS Kiss X10iであれば長く使えるカメラになると思います。
- 最新映像エンジンDIGIC 8を搭載
- 連写速度を約7.0コマ/秒に向上
- バッファサイズを大幅に増加
- 光学ファインダーで顔検知が可能
- ライブビューで瞳AFが使える
- 親指AFに便利なAF-ONボタンを設置
- 背面スクロールを設置
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