2019年10月11日、ソニーのAPS-C向けの新レンズ「E16-55mm F2.8G(SEL1655G)」と「E70-350mm F4.5-6.3G OSS(SEL70300G)」の2本が発売されました。
APS-Cユーザーが長く待っていたレンズなので、注目度も高くなっています。
ソニーストアで試写をさせてもらったので、新レンズの使用感やサンプル画像をご紹介します。
ノーノちゃん
コヤくん
このページの目次
1. ソニーのレンズ名は2種類
ソニーのレンズには2種類の読み方があります。
- 「名称」:F値や焦点距離をそのまま使った名称で、他社も採用している一般的なレンズ名です。
- 「型名」:マウントで種類を分けた型名になります。EマウントはSEL~となり、AマウントはSAL~と表記されます。
このページでは「型名」で統一し、E16-55mm F2.8Gは「SEL1655G」、E70-350mm F4.5-6.3G OSSは「SEL70300G」と記載しています。
2. 発売日
2本のレンズともにAPS-Cモデルのα6600・α6100と一緒に公式発表され、同じタイミングで発売されることになりました。
- SEL1655G・SEL70350G
:2019年10月11日
それぞれのレンズごとに特徴と使用感をご紹介していきます。
ノーノちゃん
コヤくん
3. SEL1655G
SEL1655Gは35mm換算で24mm~82.5mmをカバーする標準ズームレンズになります。
これまでソニーのAPS-C向け標準ズームレンズは手薄になっていて、選択肢はカールツァイスの「SEL1670Z」しかありませんでした。
ようやく新しい標準ズームが登場し、しかも全域F2.8の大三元レンズだったことで注目が集まっています。
外観写真
ソニーストアではα6600に装着して展示されていました。
特徴
- レンズ構成には高度非球面2枚・非球面2枚・EDガラス3枚を配置
- 「XDリニアモーター」を採用し、精度の高いフォーカスと静かな駆動
- ナノARコーティングの採用でフレア・ゴーストを効果的に抑制
- フッ素コーティングにより汚れがつきにくい
- α6600と同じく防塵防滴に配慮した設計
- 重量494gと小型・軽量化
SEL1655Gは高い解像性能にこだわったレンズ構成となっていて、G Masterレンズに採用されている「XDリニアモーター」を取り入れていることも注目です。
使い勝手ではフレア・ゴーストなど強い光への対策と、メンテナンスのしやすい仕様になっていることも特徴です。
体験レビュー
α6600とのデザインがマッチしてかっこよくまとまっています。
SEL1655Gには手ブレ補正がついていないため、ボディ内手ブレ補正のあるα6600やα6500での使用がおすすめです。
重量は494gなので、ボディと合わせて重量1kg程度でハイスペックなカメラが使えることになります。
左側にはフォーカスホールドボタンがあり、ピント固定やAFオンなど好みの機能を割り当てることができます。
またAF/MF切り替えスイッチがあり、ズームのロックボタンはありません。
ズームリングはしっかりとした重さで、フォーカスリングの操作性は適度なスムーズ感でした。フォーカスのレスポンスも良く、駆動はとても静かです。
以下はSEL1655Gの作例になります。
背景は多数の商品の陳列がありますが、うるさい印象は感じないボケ感になっています。
まだ接近することもできましたが、花全体を構図に入れています。
美しいボケを表現できていると思います。
天井の照明が玉ボケになっていますが、画面四隅でも綺麗です。
スタッフの方の説明では、SEL1655Gは周辺部まで玉ボケの綺麗さにこだわったレンズとのことでした。
絞り込むとシャープになりますが、この写真と比較すると上記の開放F2.8でも解像感は十分高いように感じます。
最短撮影距離
接近撮影のスペックは「最短撮影距離0.33m」、「最大撮影倍率0.2倍」となっています。
望遠端で最も接近した状態はこの距離になります。33cmであれば全然寄れない、ということはなさそうです。
望遠端と広角端それぞれの最短撮影距離で写すとこのようになりました。
仕様表
レンズ名 | SEL1655G |
---|---|
レンズ構成 | 12群17枚 |
開放絞り | 2.8 |
最小絞り | 22 |
絞り羽根 | 9枚 |
円形絞り | ○ |
最短撮影距離 | 0.33m |
最大撮影倍率 | 0.2倍 |
フィルター径 | 67mm |
外形寸法 (最大径x長さ) |
73mmx100mm |
重量 | 494g |
ノーノちゃん
コヤくん
4. SEL70350G
「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS(SEL70350G)」は換算で105mm~525mm相当となる、手ブレ補正搭載の超望遠ズームレンズになります。
APS-C向けの望遠レンズは種類が少なく、α6000シリーズには「SEL55210」か、またはフルサイズ向けの重い「SEL70300G」などの選択肢しかありませんでした。
今回は重量625gのSEL70350Gが発表されたことで、APS-Cでも超望遠を楽しめるようになっています。
外観写真
超望遠だけあって大柄なレンズになります。長さだけでなく太さも感じます。
特徴
- 非球面レンズ1枚、EDガラス3枚を配置したズーム全域で高い解像性能
- 円形絞りや球面収差形状の最適化による柔らかいボケ
- 「XDリニアモーター」を採用し、精度の高いフォーカスと静かな駆動
- 光学式手ブレ補正機能を搭載
- 防塵防滴に配慮した設計
- 約625gの小型・軽量
SEL70350GもSEL1655Gと同様に解像性能にこだわり、「XDリニアモーター」が搭載されたレンズになります。
超望遠レンズであるため光学式手ブレ補正を搭載、また屋外でも安心して使える防塵防滴仕様になっています。
体験レビュー
SEL70350Gを実際に持ってみると、意外に軽くて見た目と重さが釣り合わない、嬉しい違和感がありました。
超望遠でありながら重量625gの軽さはインパクトがあります。
フルサイズで同じようなレンズになると重量は1~2kg程度あります。APS-Cレンズの取り回しのメリットを感じます。
ズームをした場合の繰り出し量は標準的でしょうか。
左側にはフォーカスホールドボタンがあり、ISO感度やAFロックなど様々な機能を割り当てることもできます。
中央にはズームのロックボタンがあるので、首にかけても不用意で伸びることなく安心です。
またフィルター径はSEL1655Gと同じ67mm仕様になっているので、2本持ちの場合同じフィルターがそのまま使えるようになっています。
近接性能は最短撮影距離が1.1m-1.5m、最大撮影倍率が0.23倍となっていて標準的なスペックになっています。
以下はSEL70350Gの作例になります。
十分にシャープな描写で、背景のボケも柔らかく感じます。
屋内撮影のため、望遠側350mmでは光量不足でISO感度が上がっています。
ただ店内は明るいので、ノイズは出にくくなっています。
感度は6400まで上がっているため、α6600の画質低下も影響している作例になります。
ただ一般的にズームレンズは望遠端では甘い描写になることが多いですが、この350mmの描写はまだ解像感をキープしているように思います。
仕様表
レンズ名 | SEL70350G |
---|---|
レンズ構成 | 13群19枚 |
開放絞り | 4.5-6.3 |
最小絞り | 22-32 |
絞り羽根 | 7枚 |
円形絞り | ○ |
最短撮影距離 | 1.1m-1.5m |
最大撮影倍率 | 0.23倍 |
フィルター径 | 67mm |
手ブレ補正 | レンズ内手ブレ補正 |
外形寸法 (最大径x長さ) |
77mmx142mm |
重量 | 625g |
ノーノちゃん
コヤくん
5. まとめ
SEL1655GはF2.8通しという高性能レンズが、APS-Cのコンパクトさになったことが特徴です。
ズーム全域で単焦点レンズのようなボケ味を楽しむことができます。
SEL70350Gは換算525mmまでの超望遠とソニー機の動体性能を生かし、スポーツや野鳥、鉄道撮影など様々なシーンで活躍できます。
α6600のボディと、SEL1655G+SEL70350Gの豪華ダブルズームがあれば万能カメラになりそうです。
- SEL1655Gは全域F2.8の通しレンズ
- SEL1655Gは手ブレ補正がないのでα6600などがおすすめ
- SEL1655Gは約500gと軽量で、α6600とセットで約1kg
- SEL70350Gは超望遠にもかかわらず625gと軽量
- α6600やα6500をお持ちなら2本セットの豪華組み合わせもアリ
SEL1655G・SEL70350Gが使える人気機種はこちらで解説しています。
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