キヤノンからエントリーミラーレスのEOS M6 Mark IIが発売されました。
EOS M6 Mark IIは画素数や連写性能などを大幅にパワーアップし、本格志向のカメラとなっています。
このページでは実機を触った感想や、進化ポイントを比較しています。
ノーノちゃん
コヤくん
このページの目次
1. 展示機の外観写真
キヤノンショールーム大阪で展示されていたEOS M6 Mark IIの外観写真になります。
※画像の掲載許可をいただいています。
2. 発売日と価格
2機種の発売日と相場はこのようになっています。
新型のEOS M6 Mark IIは2年半経って発売されました。
- EOS M6 Mark II:2019年9月27日
- EOS M6:2017年4月20日
3. 外形寸法
サイズは大きく変わっていませんが、EOS M6 Mark IIの方が全体的に少し大きくなっています。
カラーバリエーションはEOS M6と同じく「ブラック」と「シルバー」の2種類になります。
内蔵電子ビューファインダー(EVF)は備えておらず、外付けオプションになるスタイルも継続されています。
ノーノちゃん
コヤくん
4. EOS M6 Mark IIの進化ポイント
EOS M6 Mark IIは大きく進化していますが、まずはじめに性能面でパワーアップしたポイントをご紹介します。
高速連写やAF追尾など、他社のライバル機に対抗できる性能となっています。
画素数
- EOS M6 Mark II:3250万画素
- EOS M6:2420万画素
EOS M6 Mark IIはEOS 90Dに続き、APS-Cセンサーで3000万画素を超えるカメラとなりました。
高画素化についてはいろんな意見があると思いますが、この画素数は大きなインパクトになっています。
映像処理エンジンは「DIGIC 8」へと1世代新しくなり、高感度や連写性能を向上させています。
高感度性能
- EOS M6 Mark II:ISO100~25600 ※拡張:51200
- EOS M6:ISO100~25600
ISO感度はISO100~25600と同じスペックで、拡張として51200まで対応できるようになっています。
ここまでの超高感度を使う機会は少ないかもしれませんが、スペックとして向上している点は歓迎したいです。
瞳AF
EOS M6 Mark IIは人気のフォーカス機能である「瞳AF」に対応しました。
こちらのYouTube動画では高速連写しながら顔を追従していて、接近すると瞳検出に切り替わっています。
実機を試しても、ポスターの顔写真に向けたところフォーカス枠が目を追いかけていて、まずまず良い反応速度でした。
この性能であればポートレートや子供の撮影などが楽になりそうです。
追尾性能
EOS M6 Mark IIはミラーレス機としては動く被写体の追従性能が上がっています。
EOS M6でも液晶モニターでタッチをすると被写体を追いかけてくれますが、そのロックオンが吸い付くように補足できるようになっています。
展示物のどんぐりにロックオンさせた状態です。
カメラを素早く動かしてもフォーカス枠が遅れることなく追いついてきました。
補足性能の正確な実力は今後カメラ雑誌などでテストされるかもしれませんが、ある程度の動きには対応してくれそうです。
高速連写
画像出典:キヤノン公式サイト
- EOS M6 Mark II:最高14コマ/秒
※サーボAF時も可 - EOS M6:最高9コマ/秒
EOS M6 Mark IIは最高14コマ/秒の高速連写が可能となっています。
しかもこの機種はメカシャッターでの14コマなので、上位機のカメラと比較してもかなりハイスペックな連写性能となっています。
連写マークの「H」では7コマ/秒、また低速の3コマ/秒連写もあるので、被写体に合わせて連写速度を選ぶこともできます。
連写中は遅れて画像が表示されるアフタービューになりますが、連写速度が速い設定ほど画像遅延の違和感が少ない印象を受けました。
RAWバーストモード
EOS M6 Mark IIは連写機能として電子シャッターのRAWバーストモードが搭載されています。
この機能は1800万画素で最高約30コマ/秒連写ができるモードになります。(シャッターボタンを押す約0.5秒前から記録を始めるプリAFも選択可能)
記録データはCR3形式の1ファイルとしてまとめられ、それぞれの画像はカメラ内でJPEGまたはRAWに書き出すことができます。
高速走行中の新幹線や飛び立つ前の野鳥撮影など、素速い動きの撮影に活用できます。
撮影枚数
- EOS M6 Mark II:
JPEG54枚・RAW23枚 - EOS M6:
JPEG26枚・RAW17枚
※表示の枚数はISO100設定時になります。
※ISOオート時は連続撮影枚数が約1/2に減ります。
EOS M6 Mark IIは秒間14コマの高速連写になったことで、バッファ(カメラ内部のメモリー容量)を大きくして連続撮影枚数を増加させています。
ISO感度固定時であればJPEGで最大54枚は連写できるので、14コマ/秒連写なら約4秒、7コマ/秒連写なら約8秒まで連写を継続することができます。
測距輝度範囲
- EOS M6 Mark II:EV-5
- EOS M6:EV0
EOS M6 Mark IIは暗い場所のAF精度が上がっていて、測距輝度範囲は「EV-5」の性能となっています。
入門機の多くは「EV0~-2」くらいの性能で、「EV-5」はフルサイズ機のEOS RPと並ぶ数値になっています。
暗闇に近いような光量が少ない場面でも、合焦しやすくなります。
4K動画対応
EOS M6 Mark IIは動画性能もアップしていて、現在主流の4K動画に対応しています。
動画撮影中もデュアルピクセルCMOS AFとサーボAFが働くので被写体の追従やなめらかなAF動作が行われます。
4K動画はクロップ(画角切り取り)なしのため、本来の画角で撮影することができます。
またEOS M6と同じく、動画撮影時はコンビネーションIS(対応レンズ装着時)とボディ内電子手ブレ補正が働きます。歩き撮りなどのブレ軽減に役立ちます。
■動画時の手ブレ補正動作
画像出典:キヤノン公式サイト
ハイスピード動画
フルHDで120pのハイフレームレート動画にも対応しています。
このモードで撮影すると、4倍スローモーション動画として再生することができます。
ISOオート低速限界
EOS M6では使えなかった、ISOオート低速限界設定に対応しました。
低速限界設定で「自動」にすると、レンズの焦点距離に合わせて「1/焦点距離」秒になるようISO感度が自動調整されます。
また手動でシャッター速度を指定しておくことで、決めたシャッタースピードになった場合にISO感度が上がるように設定することもできます。
ISOオートの動作を調整することができるので、こだわり操作をしたい人にも歓迎されると思います。
USB電源アダプター対応
EOS M6 Mark IIはUSB電源アダプターPD-E1(別売)を使用することで、カメラ本体を外部電源から充電することができます。
(市販のPD対応モバイルバッテリーでの充電は動作保証外となります)
ノーノちゃん
コヤくん
5. 使い勝手の向上
画素数や連写など性能面が注目のされるEOS M6 Mark IIですが、使い勝手も大幅に改良されていました。
一番の違いはダイヤルなど操作性の変更になっています。
AF/MF切り替えレバー
EOS M6 Mark IIは背面に「AF/MF切り替えレバー」が配置されました。
EOS M6でもコントローラーホイールの左ボタンでMF切り替えができましたが、今回はグリップする親指付近に切り替えレバーがついたことで瞬時にMFに切り替えることができます。
またレバーのボタンは親指AFとしても動作するので、中上級者の方は操作しやすく、初心者の方でも親指AFを覚えやすいメリットがあります。
操作ダイヤル
EOS M6 Mark IIは露出補正ダイヤルがなくなり、EOS M5で採用されたダイヤルファンクションボタンのついたサブダイヤルに変更されました。
EOS M6 Mark IIは初期設定ではサブダイヤルを回すと露出補正操作ができます。
個人的にEOS M6の小さい露出補正ダイヤルは操作しにくかったので、EOS M6 Mark IIのダイヤル配置の方が使いやすく感じます。
自由度の高いカスタマイズができる
ダイヤルファンクションボタンやダイヤル、「M-Fn」ボタン、コントローラーホイールの上下左右などに様々な機能を割り当てることができます。
EOS M6でもカスタマイズ性は高いカメラでしたが、この自由度の高さは継続されています。
初期設定では前後ダイヤルと「M-Fn」ボタンで基本操作となるF値、シャッター速度、ISO感度をグリップしたまま指で変更できるので非常に快適でした。
あとは好みでピーキングやモニターを明るくする設定など、使いたい機能を割り当てておくと便利に使えそうです。
電子シャッターも割り当てができればよかったのですが、見たところできないようでした。
グリップ性の向上
EOS M6 Mark IIはボディの横幅が約8mm拡張され、背面の右手部分のスペースが広くなっています。
またグリップの奥行きが約5mm長くなっているので、小型ボディですが少し深めにホールドできるようになっています。
小型ミラーレスでもグリップ部分にはある程度余裕がほしいので、この改良は好印象でした。
電子シャッター対応
EOS M6 Mark IIはEOS M6・M5などのユーザーが希望していた電子シャッターに対応し、無音シャッターが使えるようになりました。
これにより、演奏会や子供の就寝中など音を立てたくない場面でも安心して撮影することができます。
確認したところ電子シャッターの切り替えはメニュー画面でしか操作できないようで、ボタンカスタマイズができればよかったと思います。
また注意点として、電子シャッターは連写ができず単写のみとなっています。(ドライブモードが連写やセルフタイマー以外の状態で電子シャッターを設定できます。)
シャッター音
これは使い勝手ということではありませんが、EOS M6 Mark IIは(電子シャッターでない)通常の撮影ではメカシャッターが動作する仕様になりました。
これによりシャッター音も大きく変わっています。
EOS M6・M5は電子先幕シャッターを採用した軽い感じのシャッター音でしたが、M6 Mark IIのメカシャッターは「ガシャン」という本格的なカメラのシャッター音になっています。
好みはあると思いますが、シャッターを切りたくなる心地よい音で好印象でした。
多少音は大きく感じますが、無音シャッターの選択肢もあるので問題ないかと思います。
スポット1点AF
EOS M6 Mark IIではAFフレームを、従来の「1点AF」より小さくした「スポット1点AF」も選択できるようになりました。
EOS M6では「1点AF」のフレームサイズ小を選択するとサーボAFが使えないなどの制限がありましたが、「スポット1点AF」では通常のAFフレームとして使用できます。
タッチ&ドラッグAF
画像出典:キヤノン公式サイト
EOS M6 Mark IIでは外付けファインダー「EVF-DC2」装着時、ファインダーを覗きながら指で液晶モニターをタッチすることでAFフレームを移動させることができます。※「EVF-DC1」も装着可
この機能はEOS M6では使えなかったので、EVFを取り付ける人には非常に便利になります。
このタッチ&ドラッグAFの反応がEOS M6 Mark IIはとても良く、指の動きと同時になめらかにフレームが動き、狙った位置に瞬時に移動させることができました。
タッチ&ドラッグAFは他社のミラーレスでも採用されていますが、反応が遅く使いにくい機種もありますが、EOS M6 Mark IIの動きは良好です。
フォーカスポイントの移動はジョイスティックタイプのマルチコントローラーがあると便利ですが、この速いタッチ&ドラッグAFがあれば十分に動かせると感じました。
圧縮RAW「C-RAW」に対応
C-RAWはキヤノン独自の技術で、元のRAWデータをほぼ劣化なくファイルサイズを30~40%軽くできます。
高画素化したことでRAWで撮影する場合のデータ量も増えますが、軽いC-RAWはデメリットを抑えることができます。
Bluetooth対応
画像出典:キヤノン公式サイト
EOS M6でもBluetoothを活用したスマホとの連携はできましたが、EOS M6 Mark IIではカメラが電源OFF状態でもスマホから画像転送をすることができます。
電源オフ中のBluetooth通信を「する」に設定することで可能になります。
またワイヤレスリモコンはEOS M6は赤外線タイプの「RC-6」が対応していましたが、EOS M6 Mark IIではBluetoothリモコンの「BR-E1」が対応品と変更されています。
UHS-IIカード対応
EOS M6 Mark IIはSDXC UHS-IIカードに対応しました。
UHS-IIカードを使うことで、高速連写でバッファフルになった後の書き込み時間が短縮されます。
EOS M6 Mark IIは14コマ/秒の連写が可能なので、連写を多用する人には少しでも書き込みの速いSDカードが重要になります。
ノーノちゃん
コヤくん
6. 上手な選び方のポイント
ここではEOS M6 Mark IIと前モデルのEOS M6を検討している方に、選び方をご紹介しています。
EOS M6 Mark II
EOS M6 Mark IIはすでにご紹介したように、画素数や連写性能、また操作性が向上したモデルとなっています。
このスペックから中上級者の方でも使えますし、瞳AFや追尾性能など初心者にも優しい使い方もできるので幅広いユーザーに適しています。
EOS M5と比べて電子ファインダーを使いたい場合は外付けになるので、このあたりの使用スタイルも含めて好みに合うかどうかもポイントになりそうです。
EOS M6
EOS M6は旧モデルとはいえまだ2年前の発売で、9コマ/秒連写やEOS M6 Mark IIと大差ない高感度性能など基本性能は高いカメラです。
相場は下落しているので、初めて一眼カメラを買ってみたい人に適しています。
ただキヤノンのEOS Mシリーズは他社に比べて交換レンズがあまり多くないので、レンズのラインナップの確認も必要になりそうです。
7. EOS M6 Mark II・EOS M6性能比較表
EOS M6 Mark IIの主な性能を、前モデルEOS M6と比較してみました。
機種名 | EOS M6 Mark II | EOS M6 |
---|---|---|
発売時期 | 2019年9月27日 | 2017年4月20日 |
マウント | キヤノンEF Mマウント | |
イメージセンサー | APS-C | |
画像処理エンジン | DIGIC 8 | DIGIC 7 |
画素数 | 3250万画素 | 2420万画素 |
ダスト除去 | ◯ | |
ISO感度 | 100~25600 (拡張:ISO51200) |
100~25600 |
ISO AUTO低速限界 | ◯ | – |
測光方式 | 384分割測光 | リアルタイム測光 |
測光範囲 | EV-2 – 20 | EV1 – 20 |
AF方式 | デュアルピクセルCMOS AF方式 | |
測距点 | 143点 横約88%、縦約100% |
49点 |
測距輝度範囲 | EV-5 – 18 | EV-1 – 18 |
シャッタースピード | 1/4000-30秒、バルブ 電子シャッター時1/16000-1/8000秒 |
1/4000-30秒、バルブ |
電子シャッター | ◯ ※連写不可 |
– |
瞳AF | ◯ ※動画サーボAF時も動作 |
– |
連写 | 最高約14コマ/秒 RAWバーストモード:約30コマ/秒 |
最高約9コマ/秒 ※サーボAF時は7コマ/秒 |
低速連写 | 約3コマ/秒 | 約4コマ/秒 |
連続撮影枚数 | JPEG54枚・RAW23枚 ・C-RAW34枚 ・RAW+JPEG23枚 ・C-RAW+JPEG34枚 |
JPEG26枚・RAW17枚 ・RAW+JPEG16枚 |
ピーキング | ◯ | |
液晶モニター | チルト液晶 ワイド3.0型/ 約104万ドット (上180°・下45°) |
|
タッチシャッター | ◯ | |
高輝度側・階調優先 | ◯ | |
防塵防滴 | – | |
フラッシュ同調速度 | 1/200秒 | |
水準器 | ◯ | |
カメラ内RAW現像 | ◯ | |
フリッカーレス撮影 | ◯ | – |
有線リモコン(別売) | RS-60E3 | |
ワイヤレス リモコン(別売) |
BR-E1 | RC-6 |
Wi-Fi | ◯ | |
NFC | – | ◯ |
bluetooth | ◯ | |
カードスロット | シングルスロット SDXC UHS-II |
シングルスロット SDXC UHS-I |
USB端子 | USB Type-C | Micro USB Type-B |
インターフェイス | マイク HDMIミニ(タイプD) |
|
外形寸法(mm) | 119.6(幅) 70.0(高さ) 49.2(奥行) |
112.0(幅) 68.0(高さ) 44.5(奥行) |
重さ(バッテリー、 メモリーカード含む) |
約408g | 約390g |
撮影可能枚数 | 約305枚 | 約295枚 |
バッテリーパック | LP-E17 |
機種名 | EOS M6 Mark II | EOS M6 |
---|---|---|
記録方式 | MP4 | |
圧縮形式 | MPEG-4 AVC/H.264 | |
内蔵マイク | ステレオ | |
音声記録方式 | MPEG-4 AAC-LC | |
AF方式 | デュアルピクセルCMOS AF方式 | |
動画記録 | 4K30p フルHD60p HDR動画30p 4K・HDタイムラプス動画30p |
フルHD60p |
動画電子手ブレ補正 | ◯ | |
動画撮影可能時間 | 約1時間20分 | 約1時間25分 |
8. まとめ
EOS M6 Mark IIはAPS-Cミラーレスとして初の3000万画素オーバーという、画期的なスペックで登場しました。
操作性の改良も行われて誰でも使いやすいカメラに仕上っていますし、ライバルが多い中でキヤノンも個性的なモデルを発表したと思います。
EOS M6からの買い替え、またフルサイズのサブ機としても活躍しそうです。
- APS-Cセンサー初の3000万画素オーバー
- 瞳AFの追従に対応
- サーボAFの追従性能アップ
- 高速14コマ/秒の連写性能
- 4K動画撮影に対応、クロップなしの広角も撮影できる
- スローモーション動画にも対応
- 測距輝度範囲EV-5で暗い場所でもピントが合う
- 電子シャッター対応で無音撮影ができる
- スポット1点の小さいAFフレーム枠が追加された
- C-RAWでデータサイズを抑えたRAWが使える
- Bluetoothリモコンに対応
キヤノンの人気機種はこちらでも詳しく比較しています。
キヤノンEOS 90DとEOS 80Dを徹底比較【体験レビュー】 キヤノンEOS R5とEOS R6を徹底比較!【価格・スペック】