2019年11月1日、ソニー「α9II(ILCE-9M2)」が発売されました。
気になるα9との違いですが、結論を言うとα9IIはマイナーチェンジ版という印象です。
このページではα9IIの特徴や進化ポイントをまとめています。
ノーノちゃん
コヤくん
このページの目次
1. 外観
前モデルα9とのサイズ比較になります。
α9II(α9 mark2)はα7R IVをもとにしたボディへ改良されました。
グリップ・背面ボタンの大型化、後ダイヤルの上部設置などが変更ポイントとなっています。
以下はソニーストア大阪で撮影したα9IIの外観写真になります。
性能面ではマイナーチェンジだったので、ボディデザインの変更がα9IIの最も変わった点と言えるかもしれません。
ノーノちゃん
コヤくん
2. 発売日と価格
- α9II:2019年11月1日
- α9:2017年5月26日
α9IIはα9から2年半で発売となりました。
ハイエンド機としては期間が短いですが、東京オリンピックに合わせて発売されたと言われています。
3. α9IIの特徴
※2020/4/9 本体ソフトウェアアップデート(Windows) Ver.2.00が公開されています。
画素数
- α9II:2420万画素
- α9:2420万画素
α9IIのイメージセンサーはα9と同じExmor RSとなり、画素数は据え置きの2420万画素となりました。
多くのユーザーが期待外れに感じた部分ですが、現時点で噂されているニコンD6・キヤノンEOS-1D X Mark IIIなども2400万画素程度になると情報が出ています。
連写速度とバッファが重視される機種ということを考えると、メーカーとしてはこの程度の画素数がベストのようです。
画像処理エンジン
画像処理エンジンBIONZ XとフロントエンドLSIは最新バージョンとなっています。
AF速度や精度、EVFの反応、動体追尾の性能が上がっていると発表されています。
連写性能
メカシャッターの連写速度は、α9の2倍に性能アップしました。
- α9II:10コマ/秒
- α9:5コマ/秒
α9IIはメカシャッターで10コマ/秒連写が使えるようになり、弱点が改善されています。
一方、電子シャッターの連写速度は20コマ/秒で変更ありませんでした。
- α9II:20コマ/秒
- α9:20コマ/秒
引き続きローリングシャッター歪みを抑えるアンチディストーションシャッターが搭載されています。
連続撮影枚数
- α9II:361枚
- α9:362枚
α9IIのはJPEG Lサイズ・エクストラファインで連続361枚撮影できます。
性能はほぼ同じで現時点では最高スペックとなっています。
AFエリア
- α9II:像面位相差AF:693点
コントラストAF:425点 - α9:像面位相差AF:693点
コントラストAF:425点
AFエリアもα9と同じ性能になっています。撮影エリアの約93%をカバーしていて、ほぼ全画面でAFが動作することになります。
ブラックアウトフリー連写
α9が誇るブラックアウトフリー連写はもちろんα9IIでも継続されています。
連写を開始しても、画面に一瞬のブラックアウトもなく被写体の動きを確認しながら連写することができます。
リアルタイムトラッキング
狙った被写体を自動で追尾するリアルタイムトラッキングはα9IIでも使用できます。
ファインダーで見ながらAFフレームを合わせたり、液晶モニターをタッチするだけで追尾が始まります。
人物であれば顔認識や瞳AFも併用して追いかけてくれます。
EVF解像度
- α9II:376万ドット
- α9:376万ドット
EVFの仕様もα9と同じになっています。
α7RIVのような576万ドットを期待したユーザーは多いと思いますが、残念ながら同等のスペックとなりました。
3型チルト式液晶モニターで、可動域の(上約107°、下約41°)も変更はありません。
ボディ内手ブレ補正
- α9II:5.5段
- α9:5段
α9IIは手ブレ補正アルゴリズムを向上させたとのことで、5.5段分の補正効果へと強化されています。
スペック向上が少ない印象のα9IIですが、手ブレ補正の強化は歓迎したいポイントです。
動画性能
参照元:ソニーUK公式サイト
動画性能はα9と同じで、4K30p対応、MP4記録なし、AVCHDは60i・24Mまでの仕様になっています。
スロー&クイックモーション記録、インターバル撮影にも対応しています。
操作性
操作ボタンやダイヤルは大きく変更されています。
背面ダイヤル
AF-ONなど背面の操作ボタンは大型化され、マルチセレクタージョイスティックなど、α7RIVのデザインが踏襲されています。
ダイヤル
α9の半分隠れていた後ダイヤルが、α9IIでは一般的な上面の配置となり、露出補正ダイヤルにはロックボタンがつきました。
露出補正のロックボタンを一度押すとロックがかかり、もう一度押すと解除されて回すことができます。
またAF/ドライブモードダイヤルのロック解除ボタンもなくなっています。
グリップ
グリップ中指を掛ける位置が高くなり、小指がかかりやすいホールド感となっています。これによりシャッターボタンの角度も変わっています。
実際にホールドした感覚でもこの差は大きく、α9IIは手にフィットして構えやすく感じました。
バッテリーグリップなしで使う方にとっては、このグリップの変更は注目ポイントとなっています。
シャッター音
メカシャッターはαシリーズらしいキレのある強めの音ではなく、α7RIVで採用されたショックの弱い柔らかい音になっています。
音量も小さくなっているのでメカシャッターを使っても周囲にあまり響かないと思われます。
このα9IIはサイレントシャッターの使用が多いと思いますが、次で説明するフリッカーが気になる場所ではメカシャッターも活用できそうです。
フリッカー撮影モード
蛍光灯やその他の人工照明のちらつきが自動的に検出され、静止画像でのちらつきの影響を最小限に抑えるためにシャッターアクションのタイミングが調整されます。
参照元:ソニーUK公式サイト(翻訳)
α9IIにはフリッカー撮影モード(電子シャッター時は非対応)が搭載され、フリッカー現象を軽減してくれます。
フリッカーレスにすると連写速度が遅くなるのが一般的です。仕様表では確認できませんでしたが、実際は10コマ/秒より遅くなるかもしれません。
※2020年4月9日のファームウェアVer.2.00にて、α9IIは「高周波フリッカーレス機能」にも対応しました。
LAN端子
α9IIのLAN端子はα9の100BASE-TXから1000BASE-Tへ性能が上がり、高速でFTPサーバーに画像を直接転送できます。
現場を取材するプロカメラマンには役立つ性能向上です。またFTPサーバの自動アップロードにも対応しています。
シャッター耐久性
シャッターの耐久性はα9と同じく50万回に耐えられる仕様とのことです。
これはメカシャッターでのシャッター回数のため、電子シャッターをよく使う場合はさらにシャッター回数は伸びそうです。
メモリーカード
- α9II:
スロット1・2:UHS-II - α9:
スロット1:UHS-II
スロット2:UHS-I
α9IIは両スロットがSDカードのUHS-IIに対応しました。
片方がUHS-Iだと同時書き込みの際に書き込み時間がかかってしまいますが、両スロットがUHS-II対応であれば、書き込み時間を短縮することができます。
またメディアの記録先を自動で切り替えるリレー記録に対応しています。
縦位置グリップ
- α9II:VG-C4EM
- α9:VG-C3EM
対応する縦位置グリップは「VG-C4EM」へ変更されています。
α9IIの操作ボタンは大きく改良されましたが、それに伴い「VG-C4EM」もボディの操作感と違和感がないよう調整されているとのことです。
音声メモ機能
60秒の音声ファイルまで記録することを可能にする機能(.WAV)をテキストに自動転写、撮影条件や画像コンテンツを記述する38、接続され、画像に。
参照元:ソニーUK公式サイト(翻訳)
画像に音声を添付できる音声メモ機能に対応しました(動画は不可)。
例えば、報道撮影の方は画像説明を付けることで受け渡しのワークフローがスムーズにできる、ということです。
デジタルオーディオインターフェイス
マルチインターフェース(ホットシュー)がデジタルオーディオインターフェイスに対応しました。
ショットガンマイク「ECM-B1M」やXLRアダプターキット「XLR-K3M」を直に接続できるようになり、高音質録音ができるようになっています。
ノーノちゃん
コヤくん
4. 上手な選び方のポイント
これからソニーの高速連写モデルを考える場合、α9IIとα9の選択肢があります。
ここでは2機種の選ぶポイントや価格をまとめています。
α9II
α9IIは上記で説明したようにマイナーアップデートとなりました。
α9ユーザーにとっては乗り換えるポイントが少ないかもしれません。ただこれから最新の連写性能が欲しい人には魅力的なモデルとなっています。
α9
旧モデルα9のAF性能や連写はまだ高速連写機としてはトップクラスで、これからこの性能が必要な方には十分候補となるモデルです。
2019年に入ってからは値下がりした価格も安定し、フラッグシップモデルとしてはお買い得な相場となっています。
5. 性能比較表
α9IIとα9を比較した一覧表になります。
※α9はソフトウェアアップデートVer.6.00の仕様になります。
機種名 | α9II | α9 |
---|---|---|
発売時期 | 2019年11月1日 | 2017年5月26日 |
マウント | ソニーEマウント | |
イメージセンサー | フルサイズ | |
画像処理エンジン | BIONZ X(最新世代) | BIONZ X(旧世代) |
画素数 | 約2420万画素 | |
ボディ内手ブレ補正 | 5.5段 | 5.0段 |
アンチダスト | 帯電防止コート イメージセンサーシフト駆動 ※クリーニングモード時 |
|
ダスト対策 | シャッター閉幕機能 (使用選択可) ※ファームウェアVer.2.00 |
ー |
ISO感度 | メカシャッター:100-51200 電子シャッター:100-25600 |
|
拡張ISO感度 | メカシャッター:50-204800 電子シャッター:下限ISO 50 |
|
ISO AUTO低速限界 | ◯ | |
マルチショットNR | – | |
AFエリア | 像面位相差AF:693点 コントラストAF:425点 |
|
動体追従機能 | リアルタイムトラッキング | |
瞳AF | リアルタイム瞳AF ※人物・動物対象 ※人物のみ動画も対応 |
リアルタイム瞳AF ※人物・動物対象 ※静止画のみ |
検出輝度範囲 (暗所AF) |
EV-3 – 20 | |
ピーキング | ◯ | |
シャッタースピード | 1/8000-30秒、バルブ ※電子シャッター 最高1/32000-30秒 |
|
電子先幕シャッター | ◯ | |
フラッシュ同調速度 | 1/250秒 | |
サイレント撮影 | ◯ | |
フリッカーレス撮影 | ◯ | – |
タッチシャッター | – | |
タッチフォーカス | ◯ (タッチフォーカス/タッチパッド/タッチトラッキング) |
|
フォーカス枠色指定 | ◯ | |
連写 (メカシャッター) |
Hi:最高10コマ/秒 Mid:最高8コマ/秒 Lo:最高3コマ/秒 |
Hi:最高5コマ/秒 Mid:最高5コマ/秒 Lo:最高2.5コマ/秒 |
連写 (電子シャッター) |
Hi:最高20コマ/秒 Mid:最高10コマ/秒 Lo:最高5コマ/秒 |
|
連続撮影枚数 | JPEG(L・ファイン)361枚 ・RAW239枚 ・RAW+JPEG226枚 |
JPEG(L・ファイン)362枚 ・RAW241枚 ・RAW+JPEG222枚 |
ファインダー | サイズ:0.5型 ドット数:約368.6万ドット 倍率:約0.78倍 |
|
ファインダー フレームレート選択 |
STD 60fps / HI 120fps | |
背面液晶モニター | 3インチ 144万ドット |
|
可動液晶モニター | チルト式液晶 (上約107°、下約41°) |
|
測光範囲 | EV-3 – EV20 | |
ダイナミックレンジ機能 | Dレンジオプティマイザー、 オートHDR |
|
水準器 | ◯ | |
14bit RAW 出力 | ◯ | |
非圧縮RAW | ◯ | |
SDカードスロット | スロット1:UHS-II スロット2:UHS-II |
スロット1:UHS-II スロット2:UHS-I |
リモートコントロール (ワイヤレス) |
赤外線リモコン/ Bluetoothリモコン |
|
Wi-Fi | IEEE 802.11a/b/g/n/ac (2.4GHz帯/5GHz帯) |
IEEE 802.11b/g/n (2.4GHz帯) |
NFC | ◯ | |
インターフェイス | マルチ/マイクロUSB シンクロターミナル HDMIマイクロ(タイプD) マイク ヘッドホン |
|
USB充電 / 給電 | ◯ / ◯ (マルチ/マイクロUSB端子またはUSB Type-C端子で可) |
◯ / ◯ |
防塵防滴仕様 | 防塵・防滴に配慮(強化) | 防塵・防滴に配慮 |
撮影可能枚数 ファインダー /液晶モニター |
約500枚 /約690枚 |
約480枚 /約650枚 |
バッテリーパック | NP-FZ100 | |
外形寸法(mm) | 128.9(幅) 96.4(高さ) 77.5(奥行) |
126.9(幅) 95.6(高さ) 73.7(奥行) |
重さ(バッテリー、 メモリーカード含む) |
約678g | 約673g |
機種名 | α9II | α9 |
---|---|---|
ファイル記録方式 | XAVC S、AVCHD規格 Ver.2.0準拠 | |
圧縮形式 | MPEG-4 AVC/H.264 | |
内蔵マイク | ステレオ | |
音声記録方式 | XAVC S: LPCM 2ch AVCHD: Dolby Digital (AC-3) 2ch ドルビーデジタルステレオクリエーター搭載 |
|
ピクチャー プロファイル |
– | |
動画記録 | XAVC S 4K:3840 x 2160(30p, 100M) XAVC S:1920 x 1080(120p, 100M) AVCHD:1920 x 1080(60i, 24M, FX) |
|
インターバル撮影 | ◯ | |
スロー&クイック モーション撮影 |
1920 x 1080 (60p) 1fps~120fps |
|
実動画撮影時 ファインダー /液晶モニター |
約110分 /約120分 |
約105分 /約120分 |
連続動画撮影時 ファインダー /液晶モニター |
約195分 /約200分 |
約185分 /約195分 ※連続29分制限あり |
6. まとめ
α9IIは多くのユーザーが期待していたアップグレードはなかったようで、細部の変更や操作性の向上という変更に留まりました。
画素数を抑えたことから、連写性能に特化したモデルという印象がさらに強くなっています。
α9ユーザーからの買い替えより、新規で高速連写タイプのカメラが欲しい人におすすめできそうです。
- 画素数は同じく2420万画素
- メカシャッター連写が10コマ/秒と高速化
- ボディ内手ブレ補正が5.5段に強化された
- グリップやボタンなど操作性が向上
- フリッカー低減に対応
- 有線LANの転送速度がアップ
- 両スロットがUHS-IIに対応
- 音声メモ機能が搭載
- ホットシューがデジタルオーディオインターフェイスに対応
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