「35mm換算」はカメラ初心者の方には難しい用語ですが、写る範囲をイメージするために必要になります。
また35mm換算が理解できないと、レンズ交換もできなくなってしまいます。
このページでは35mm換算の用語説明と、その計算方法や倍率について解説しています。
ノーノちゃん
コヤくん
このページの目次
1. 35mm換算とは
35mm換算(35mm判換算ともいいます)とは、「焦点距離をフルサイズに置き換える」という意味になります。
フルサイズ以外のセンサーごとに、倍数を掛けてフルサイズ換算した焦点距離を求めます。
フルサイズ機をお持ちの方はレンズの焦点距離からそのまま画角(写る範囲)を判断できます。
しかしそれ以外のAPS-Cやマイクロフォーサーズのカメラは、この35mm換算を行うことで実際に写る範囲がイメージできるようになります。
イメージセンサーの解説はこちら
カメラのイメージセンサーとは?サイズの比較一覧表あり
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2. 35mmの意味とは?
35mm換算がなぜ「フルサイズに置き換える」という意味になるのか、用語の由来を解説しておきます。
35mmというのは、デジタルカメラが登場する以前のフィルムカメラで使われていた「35mmフィルム」を指しています。
そしてデジタルカメラの時代には、その35mmフィルムの大きさで「フルサイズ」と呼ばれるイメージセンサーが作られました。
イメージセンサーはフルサイズ以外に小型センサーが数種類ありますが、小型センサーはこの35mmフィルムの大きさを基準として画角が判断されています。
そのため、35mm換算はフルサイズ換算という意味にもなります。
なぜフィルム時代の名前なのか
フルサイズでなく35mmフィルムが用語として使われているのは、単に昔から使われていることが理由です。
実はデジタルカメラのフルサイズセンサーの登場は2005年以降と遅く、それまでにコンパクトカメラやデジタル一眼などの小型センサーを搭載したデジタルカメラが先に広まっていました。
小型センサーのカメラは表記の焦点距離では写る画角がわかりにくいため、当時のメーカーは「35mmフィルム換算で何mm」という表記をしていました。
画像出典:キヤノン公式サイト
2001年発売のコンパクトカメラの仕様表には35mm換算が書かれています。
そのあとフルサイズセンサーの一眼レフが登場しましたが、それまで使われていた35mm換算という用語は継続され、現在まで使われることになっています。
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3. センサーによって画角が違う
写る範囲の画角は、イメージセンサーの大きさによって変わります。
まずは、一眼カメラの主なイメージセンサーをご紹介します。
※APS-Cはサイズ違いで2種類あります。
このセンサーの大きさが異なることで、例えばそれぞれのカメラに焦点距離50mmのレンズをつけても写る画角は違うことになります。
このようにAPS-Cとマイクロフォーサーズの写真は拡大して写ることになります。
これでは「50mmの写り方」が統一されないので、フルサイズ以外のカメラは実際に写る画角で表す必要があります。
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4. 35mm換算の計算方法
APS-Cとマイクロフォーサーズの焦点距離をフルサイズに置き換えるには、それぞれある倍数を掛けることになります。
計算式はこのようになります。
- APS-C:×1.5
- マイクロフォーサーズ:×2
35mm換算の仕組み
実際の計算例をご紹介します。
例えばフルサイズ機で50mmの画角で写したい場合は、このような焦点距離を使います。
- APS-Cなら33mmで撮影(×1.5で50mmになる)
- マイクロフォーサーズなら25mmで撮影(×2で50mmになる)
この焦点距離で撮影すると、フルサイズと同じ50mm相当の画角で写ることになります。
このように、APS-Cとマイクロフォーサーズの場合はフルサイズでの写り方を考えて焦点距離を選ぶことになります。
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ズームレンズでの計算例
ここでは入門機に付属するキットレンズを例にして、35mm換算を計算してみます。
APS-C
ニコンの標準ズームレンズの焦点距離は「18mm~55mm」となっています。
APS-Cの35mm換算は1.5倍となるので、×1.5を計算すると「27mm~83mm」になります。
「27mm~83mm」のレンズと考えれば写る範囲がわかりやすくなります。
マイクロフォーサーズ
オリンパスの標準ズームレンズは「14mm~42mm」となっています。
マイクロフォーサーズの35mm換算は2倍になるので、×2を計算すると「28mm~84mm」になります。
「28mm~84mm」のレンズと考えれば写る範囲がわかりやすくなります。
この35mm換算をすることで基準が統一され、どのカメラでも写る範囲がイメージできるようになります。
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メーカーの記載方法
メーカーのレンズの仕様表では、35mm換算はこのような書き方になっています。
画像出典:ニコン公式サイト
必ず「35mm換算」されたフルサイズ相当の焦点距離と画角が書かれています。
APS-Cやマイクロフォーサーズ機でレンズを新たに購入する場合は、この35mm換算を目安にして選びます。
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5. 1.5倍や2倍になる理由は?
ここでは上記の「×1.5」「×2」という倍数が、どのようにして出された数字なのかを解説しています。(中上級者向けの内容になります。)
計算式はフルサイズセンサーの対角線÷(APS-Cなどの)センサーの対角線となります。
機種により同じセンサーでも0.1mm程度の違いはありますが、フルサイズ機のセンサーは概ね「36mm×24mm」となっています。
対角線の求め方は「√( 縦の2乗 + 横の2乗)」となっているので、計算するとフルサイズセンサー36mm×24mmの対角線は「約43.3mm」となります。
この「約43.3mm」からお持ちのカメラのセンサー対角線を割ったものが、35mm換算の倍数になります。
ニコン・キヤノン・ペンタックス
ニコン・キヤノン・ペンタックスのAPS-C機のセンサーは、機種によりますが主に「23.5×15.7mm」サイズとなっていて、計算すると対角線は約28.26mmとなります。
35mm換算の計算式は「43.3mm÷28.26mm=約1.5322…」となり、約1.5倍(より正確には約1.53倍)が倍数になります。
キヤノン
キヤノンのAPS-C機のセンサーは、主に「22.3×14.9mm」サイズとなっていて、対角線は約26.82mmとなります。
35mm換算の計算式は「43.3mm÷26.82mm=約1.6144…」となり、約1.6倍(より正確には約1.61倍)が倍数になります。
マイクロフォーサーズ
マイクロフォーサーズ機のセンサーは、「17.3mm×13mm」サイズとなっているので、対角線は約21.64mmとなります。
35mm換算の計算式は「43.3mm÷21.64mm=約2.0009…」となり、約2倍のままで正確な倍数になります。
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6. 35mm換算一覧表
レンズごとに35mm換算をするのは手間なので、早見表にまとめてみました。
レンズの焦点距離を見たときに、フルサイズに置き換えると何mmになるのかが確認できます。
※2020年12月4日 一覧表を更新しました
例えば、APS-Cでレンズの焦点距離が35mmの場合、54mm相当の画角で写ることになります。
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焦点距離相関表
以下の表は、どのイメージセンサーでも同一画角に写る焦点距離の一覧表になります。
フルサイズの焦点距離を考えた時に、他のイメージセンサーでは何mm相当になるかを調べることができます。
例えば、フルサイズの24mmと同じ大きさで写したい場合、APS-Cだと16mmの焦点距離で写ることになります。
ノーノちゃん
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7. まとめ
35mm換算を理解できるようになると写る範囲をイメージしやすくなり、またレンズ交換も楽しめるようになります。
難しい用語ですが、カメラを使っているとすぐに慣れるので習得してみてください。
- 35mm換算とは「フルサイズに置き換える(換算する)」という意味
- イメージセンサーによって写る範囲(画角)が異なる
- 35mm換算は昔使われていた用語で、フルサイズ換算と考えてよい
- APS-Cは1.5倍、マイクロフォーサーズは2倍で計算する
- レンズの仕様表にも35mm換算は書かれている
35mm換算を知るには以下の用語も知っておく必要があります。
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