親指AFとは、シャッターボタンではなく背面のボタンでAFを行う撮影方法になります。
親指AFを使うと撮影が楽になるメリットが多く、初心者の方にもおすすめできます。
このページでは親指AFの使い方と、キヤノン・ニコン・ソニーでの設定方法をまとめています。
ノーノちゃん
コヤくん
このページの目次
1. 親指AFとは?
親指AFとは、その名前の通り親指でAF(オートフォーカス)を行う操作をいいます。
通常はシャッターボタンでAFを行ないますが、親指AFは背面の親指付近にあるボタンを割り当ててAFを行ないます。
通常の撮影方法と比較してみます。
通常撮影
カメラの初期設定ではシャッターボタン半押しでAFを動作させ、全押しでシャッターを切る操作になります。
親指AF
親指AFではシャッターボタンの半押しAFは無効に設定します。
そして背面のボタンを親指でAF動作させ、人差し指でシャッターを切る使い方になります。
一部の機種を除き、多くの機種が親指AFに対応しています。小型のミラーレスでも親指付近にボタンが配置されています。
このようにAFとシャッター(レリーズ)を分離して操作する点が、親指AFの特徴になります。
ノーノちゃん
コヤくん
2. 親指AFのメリットは?
親指AFは風景や人物撮影にも適していますし、動体撮影をする場合も便利になります。
ここでは親指AFを使うメリットを3つご紹介します。
- ピントを固定できる
- 置きピンができる
- AFモードの切り替え不要
①ピントを固定できる
親指AFは背面ボタンでAFを動作した後、指を離すとAFが停止します。
この状態でピントは固定されていて、シャッターボタン半押しでAFは動作しません。
そのため、あとはシャッターを切るだけの操作になります。
風景やポートレート撮影の際、様々な構図で何枚も撮っておきたい場合に便利です。
もし通常設定だと…
親指AFでない通常設定ではシャッター半押しでAFが動作するため、撮影ごとにAF+シャッターを行うことになります。
このように、2枚目以降も一旦中央でピントを合わせてから構図変更をする必要があります。
1枚だけの撮影なら親指AFと操作量は変わりませんが、何枚も撮影する場合は手間が多くなります。
ノーノちゃん
コヤくん
②置きピンができる
親指AFでは一か所を狙ってピントを合わせておき、タイミングに合わせてシャッターを切る使い方ができます。
一度ピントを合わせておけば、このような場面でシャッターを切ることだけに集中できます。
もし通常設定だと…
先ほどと同じく、撮影ごとにAFが動作するため撮影のテンポが悪くなります。ピントが合うまでの一瞬のタイムラグも発生します。
またAFを繰り返すので、中にはピントが合わないカットが撮れてしまう可能性もあります。
ノーノちゃん
コヤくん
③AFモードの切り替え不要
通常は止まっている被写体はAFモードのAF-S、動く被写体はAF-Cを切り替えて使います。
しかし親指AFの場合はAF-Cに設定しておくと、AF-Sのようにも使えるのでAFモードの切り替えが不要になります。
親指AFボタンを押し続ければAF-Cモードの追従ができますし、ボタンを離せばAF=Sモードのピント固定ができます。
親指AFでAF-Cモードに設定した場合の動作についてまとめておきます。
- 親指AFボタンを押す→AF動作
- 親指AFボタンを離す→ピント固定
- 親指AFボタンを押し続ける→AF追従
(ただAFモードを「MF」に切り替えないとピーキングなどのMF補助機能は動作しなくなります。)
ノーノちゃん
次は親指AFの設定をご紹介しますね。
コヤくん
3. 親指AFの設定方法
親指AFの設定手順をご紹介します。
機種ごとに多少の違いはありますが、基本的には以下のような設定になります。
- シャッターボタンの半押しAFを無効にする
- 背面ボタンにAF-ONを割り当てる
ここではキヤノン・ニコン・ソニー機の例をご紹介します。
キヤノン
操作カスタマイズ
メニュー画面の操作カスタマイズ設定画面に入ります。
半押しを測光に
シャッターボタン半押しがAFになっているので、「測光」に変更します。
※背面にAF-ONボタンがあるEOS RやEOS 80Dなどの機種はこれで設定完了になります。
親指AFボタンの割り当て
背面のAEロックボタンにAFを割り当てます。
「シャッターボタン/AEロックボタン」の項目で「AE/AF(AEロックなし)」に変更すると、AEロックボタン(*)がAFボタンとして使用できます。
これで親指AFが設定できました。
AFモードをAF-Cに変更
AFモードをAF-C(キャノンはAIサーボ)に変更しておきます。
ニコン
半押しAFをOFFに
メニュー画面の「ボタン動作のオプション」に入り、「半押しAFレンズ駆動」を「OFF」にします。
※背面にAF-ONボタンがあるZ7・Z6などの機種はこれで設定完了になります。
親指AFボタンの割り当て
※この設定のみで半押しAFがOFFになる機種もあります。
背面のAEロックボタンにAFを割り当てます。
「AE/AFロックボタンの機能」へ入り、「押し時の動作」を「AF-ON」にします。
これで親指AFが設定できました。
AFモードをAF-Cに変更
AFモードをAF-Cに変更しておきます。
ソニー
半押しAFをOFFに
メニュー画面の「シャッター半押しAF」を「切」にします。
また「アイスタートAF」も不要なので「切」にしておきます。
※背面にAF-ONボタンがあるα7IIIなどの機種はこれで設定完了になります。
親指AFボタンの割り当て
背面のボタンにAFを割り当てます。
「カスタムキー」画面で「AFオン」を割り当てます。
これで親指AFが設定できました。
AFモードをAF-Cに変更
AFモードをAF-Cに変更しておきます。
ノーノちゃん
コヤくん
4. 親指AFのデメリット
便利な親指AFですが、筆者の体験からデメリットもいくつか気づいたので整理しておきます。
カメラの使い方や何を撮るかは人それぞれなので、親指AFが合わないケースもあると思います。
AFボタンが押しにくいことも
親指AFに割り当てるボタンの位置は機種によって違います。
グリップした際に親指から少し遠い場合や、また手の大きさや持ち方によって押しにくくなる場合があります。
よくある親指AFボタンの位置パターンをご紹介します。
ソニーやニコンは添えた親指の左上付近にボタンが配置され、キヤノンは機種によりますが親指の上や右側にボタンを配置されているのが特徴です。
上位機は親指AFを使う前提で「AF-ON」ボタンが用意されていますが、それでも押しやすさは個人差があると思います。
また縦構図の持ち方では微妙に親指の押しやすさが変わるので、縦構図をよく使う方はその持ち方でもチェックが必要かと思います。
測距点も親指で操作
フォーカス枠を動かす測距点操作も親指で行うため、AFと測距点操作の両方を親指で行うことになり半押しAFより少し使いにくくなります。
親指AFは上で説明したようにAF固定で構図を変えることができますが、近い距離の撮影だとコサイン誤差というわずかなピントずれが起きてしまいます。
そのピントずれを防ぐため特に近距離撮影では測距点移動が使われます。測距点操作も行う場合は親指の操作は忙しくなります。
AF維持の負担
これはあまり聞かれる意見ではないのですが、動体撮影で親指AFボタンを押し続けるのは少し維持しにくいように感じます。
それより通常のシャッター半押しを続ける方が楽に維持ができます。
ただシャッター半押しのクリック感が弱いタイプの機種だと、半押し中の力加減でシャッターを切ってしまうミスが起きるので、親指AFの方がよい場合もあります。
ノーノちゃん
コヤくん
5. まとめ
親指AFは撮影が楽になるメリットが多い撮影方法になります。
使いやすさの相性はありますが、まだ試していない方は一度設定して使ってみてくださいね。
- 親指AFはAFとシャッターを分離する撮影方法
- 親指AFボタンを離すとピントが固定される
- ピント固定なので構図変更や置きピンができる
- AF-Cに設定すればAFモードの切り替えが不要
- 親指AFの設定は半押しAFのOFF、親指AFの割り当て
- 背面ボタンの位置によっては使いにくい
- AEロックは別操作になる
- 親指がAFと測距点移動の両方を行うことになる
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