ミラーアップ撮影は、一眼レフ特有のブレを防ぐ撮影方法になります。
ミラーアップが使えるようになると、ブレが出やすい状況で失敗写真を防ぐことができます。
どのような場面で使えばよいのか、また実際にブレのテスト結果もご紹介しています。
ノーノちゃん
コヤくん
このページの目次
1. ミラーアップとは
ミラーアップとは、一眼レフのボディ内にあるミラーを上げる操作をいいます。
シャッターを切る際に、ミラーが上下に動く衝撃(ミラーショック)でブレが発生する場合があります。
そのため、撮影状況によってはわずかな衝撃でも発生しないよう先にミラーを上げてからシャッターを切ります。この撮影方法をミラーアップ撮影といいます。
また一眼レフでもライブビュー撮影であればミラーは上がった状態の撮影になるのでミラーショックは起きません。
ミラーアップ設定方法
ミラーアップの設定方法は、キヤノンはメニュー画面の「ミラーアップ撮影」から、ニコンはレリーズモードダイヤルを「Mup」に合わせます。
ミラーアップ操作をすると、光学ファインダーへ光が届かなくなるのでファインダー内は真っ暗になります。そのためピント合わせはミラーアップの前に行います。
ミラーアップ操作方法
ミラーアップで撮影をする場合は、三脚を使用します。
カメラの操作は次のようになります。
- シャッター半押し※または親指AF
→ピント合わせ - シャッター全押し
→ミラーが上がりファインダーが暗くなる - もう一度シャッター全押し
→シャッターが切れ、ミラーが下りる
このようにミラーアップ撮影は、ピント合わせ後にシャッター全押しを2回繰り返して撮影を行います。
ミラーアップが使われる場面
実際のミラーアップ撮影が活用されるシーンはこのようになります。
望遠レンズを使った撮影、また花火や車のテールランプなど被写体が流れるスローシャッター、星空撮影などで活用されます。
それ以外にも、1/100秒以下など遅いシャッタースピードではミラーショックのブレが出やすくなります。
ノーノちゃん
コヤくん
2. 通常のミラーの動き
ミラーアップ撮影は、通常撮影でのミラーの動きを把握しておくと理解しやすくなります。
通常撮影ではミラーはこのような動きをしています。
シャッターボタンを押すと同時にミラーは上に跳ね上がり(この瞬間ファインダーが真っ暗になる)、シャッターが開いてイメージセンサーに光が当たります。
シャッターが閉じると上がったミラーも下に降りることになります。このミラーの上下の動きによる衝撃をミラーショックといいます。
写真のブレの原因は手ブレがありますが、一眼レフの場合はミラーショックもブレの原因となっています。
ノーノちゃん
コヤくん
3. ミラーショックブレの原因
ミラーショックは全ての撮影で起きますが、シャッタースピードが速い場合はミラーショックによるブレは問題ありません。
ただ以下の場面ではブレが起きやすくなります。
- 長い焦点距離
- 遅いシャッタースピード
焦点距離が長い場合はブレが発生しやすくなります。特に超望遠の野鳥撮影などはミラーショックのブレ対策は重要になっています。
また1/100秒以下などの遅いシャッタースピードの場合も発生しやすくなります。
例えば1/60秒前後はミラーの動きとイメージセンサーに光が当たる露光が重なるためにブレが出やすくなります。
ノーノちゃん
コヤくん
「シャッタースピード」はこちらで詳しく解説しています。
シャッタースピードとは?目安と使い方をわかりやすく解説
4. ミラーショックのブレテスト
実際に一眼レフを使って、ミラーショックのブレをテストしてみました。
機材はニコンD750を使い、設定はシャッター速度1/60秒・焦点距離75mmでこちらの時計を撮影してみます。
※使用したD750はミラーショックが大きいと言われている機種になります。
以下の4パターンで撮影を行い、それぞれロゴ部分を拡大してブレをチェックしました。
- 三脚で手押し
- 三脚でレリーズ
- 三脚でミラーアップ+レリーズ
- 手持ち撮影
①三脚で手押し
三脚を設置し、シャッターボタンを手押しでシャッターを切った場合の拡大写真になります。
かなりブレが出ていて、甘い画質になっています。
②三脚でレリーズ
次に、三脚でレリーズケーブルを使ってボディに振動を与えないようにシャッターを切りました。
レリーズを使っているにもかかわらず、まだブレが出ています。
③三脚でミラーアップ+レリーズ
次は三脚でミラーアップ状態にしてから、レリーズケーブルで撮影したものです。
上の2枚と比べてロゴがシャープに写り、ブレなく撮影できました。
④手持ち撮影
最後に、カメラを手持ちして1/60秒で撮影してみました。
何度か撮影しましたが、結果はブレが出る場合とブレない場合を繰り返しました。(ブレは手ブレの可能性もあります)
テストではごくわずかなブレだったので許容範囲とも言えますが、今後同じ場面でどの程度ブレが出るのかわからないので、安全な撮影方法ではなさそうです。
結果
以上から1/60秒という遅いシャッタースピードではミラーショックによるブレが確認できました。
今回は焦点距離75mmでしたが、200mmや400mmなど長くなるほどブレ量はさらに大きくなっていくので、通常の撮影以上に対策が重要になります。
ノーノちゃん
コヤくん
5. ミラーショックの対策
ミラーショックによるブレを防ぐ方法としては2つあります。
- 三脚+ミラーアップ撮影
- 三脚+ライブビュー撮影
先ほどご紹介した三脚+ミラーアップ撮影はミラーショックのブレ対策に効果的です。
またライブビュー撮影もミラーは上がった状態になるのでブレを防ぐことができます。
遠隔シャッターでブレを防ぐ
さらにレリーズケーブルやリモコンでの遠隔シャッターを利用することで、シャッターボタンを押す振動ブレを防ぐことができます。
特に花火などの長時間露光はミラーショック以外にボディに触れる振動でブレてしまうため、遠隔シャッターは必須になります。
遠隔シャッターが使えない場合
レリーズケーブルなどを持っていない場合はセルフタイマーを使うことでボディに触れずにシャッターを切ることができます。
キヤノンはミラーアップ設定とセルフタイマーを組み合わせることができます。
ニコンの場合は「露出ディレイモード」に設定すると、ミラーアップと数秒後の自動シャッターが行われます。
ノーノちゃん
コヤくん
6. まとめ
一眼レフの場合はミラーショックによるブレが起きることがあります。
綺麗な風景や作品づくりなど、画質にこだわりたい場面はこのミラーアップ撮影を取り入れてみてください。
- ミラーアップはボディ内のミラーを上げる状態
- ミラーの動きにより、写真にブレが出ることがある
- 望遠になるほどミラーショックブレが起きやすくなる
- ミラーレスはミラーがない構造なので発生しない
- 一眼レフのライブビューはミラーアップされるので回避できる
ミラーショックブレの原因となるシャッタースピードについては、こちらで解説しています。
シャッタースピードとは?目安と使い方をわかりやすく解説