交換レンズは一眼カメラが楽しくなるアイテムです。
レンズを替えることで、ボケが綺麗な写真が撮れたり、プロのような写真を撮ることもできます。
ただ初心者の方が交換レンズを選ぶのは難しいので、このページでは交換レンズの選び方や用語についてまとめています。
ノーノちゃん
コヤくん
このページの目次
1. ズームレンズと単焦点レンズ
まずレンズには焦点距離が変わる「ズームレンズ」と、焦点距離が固定の「単焦点レンズ」に分類されます。
それぞれの特徴をまとめてみます。
ズームレンズの特徴
ズームレンズは、ズームリングを回すことで被写体を引いたりアップしたりできるレンズになります。
メリット・デメリットはこのようになります。
- 様々な焦点距離を1本で撮影できる
- ズーミングで構図を自由に決めることができる
- 単焦点レンズに比べると画質が劣る
- 開放F値が大きいのでボケが弱くなる
- レンズ内にホコリ等が入りやすい
ズームができて使い勝手のよいレンズですが、単焦点レンズに比べるとボケが弱くなるのと、レンズ内部にホコリが入りやすい構造になります。
ズームレンズの分類
ズームレンズといっても、焦点距離の違いで広く写せるレンズや望遠向きのレンズがあります。
広角ズーム | 焦点距離16~35mm(APS-Cなら10~20mm)など広角に特化したズームレンズになります。 |
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標準ズーム | 焦点距離24~70mm(APS-Cなら17~55mm)など標準画角を中心としたズームレンズになります。 |
望遠ズーム | 焦点距離70~300mm(APS-Cなら55~200mm)など望遠に特化したズームレンズになります。 |
高倍率ズーム | 焦点距離28~300mm(APS-Cなら18~200mm)など広角から望遠までをカバーしたズームレンズになります。 |
広角ズームや望遠ズームなど、焦点距離によってズームできる範囲が異なる種類があります。
一眼レフ入門機のダブルズームキットは標準ズームと望遠ズームのセット販売となっていて、この2本があると多くのシーンが撮影できます。
高倍率ズームは1本で広角から望遠まで撮影できる、便利なズームレンズです。ただ画質面では焦点距離の幅が狭いレンズの方が有利になります。
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単焦点レンズの特徴
単焦点レンズは焦点距離が一つのレンズで、画角(写る範囲)が固定されているのが特徴です。
ズームはできないので、画角や被写体の大きさを変えるには撮影者が前後に動く必要があります。
メリット・デメリットをまとめるとこのようになります。
- ズームレンズに比べて画質が良い
- 開放F値が小さいので大きなボケを表現できる
- 開放F値が小さいのでシャッター速度を稼ぐことができる
- ズームができないので構図合わせがしにくい
- 焦点距離が適切でない場合はレンズ交換が必要
画質面で有利な単焦点レンズですが、ズームができないので1本では全てのシーンに対応できなくなります。
単焦点1本だけで撮影するのも面白いですが、基本はズームレンズとセットで用意したり、複数の単焦点レンズを用意することになります。
単焦点レンズの分類
単焦点レンズは焦点距離によってこのような種類があります。
広角単焦点 | 焦点距離20mm・24mm・28mm(APS-Cなら16mm)など広角に特化した単焦点レンズになります。 |
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標準単焦点 | 焦点距離35mm・50mm(APS-Cなら20mm・35mm)など標準画角となる単焦点レンズになります。 |
望遠単焦点 | 焦点距離85mm・135mm・200mm(APS-Cなら55mm~)など望遠に特化した単焦点レンズになります。 |
マクロ | 接写(マクロ撮影)ができる単焦点レンズになります。焦点距離は60mm・100mm(APS-Cなら40mm・60mm)などがあります。 |
単焦点レンズは標準画角だと手頃な価格から販売されています。そのため初めて購入する1本として標準単焦点レンズはおすすめできます。
広角単焦点と望遠単焦点は高価なレンズが多く、使い方も難しくなります。
単焦点レンズの開放F値はF1.4、F1.8、F2.8など種類がありますが、F値が小さい(明るい)レンズほど高価で大型サイズになります。
単焦点レンズの種類一覧はこちらでご紹介しています。
人気のおすすめ【単焦点レンズ】メーカー別まとめ
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2. 焦点距離を選ぶ
焦点距離を理解することで、どのような写真が撮れるのかをイメージすることができます。
焦点距離を大きく分けると「広角・標準・望遠」の3タイプになります。さらに接写できるマクロレンズも含めてまとめてみました。
広角(~28mm)
広角は焦点距離28mm程度までのレンズになります。
広い景色を写すことができますし、被写体に寄って遠近感を強調する使い方もできます。
24mmやそれ以下の超広角は、広い景色を構図に収めるため左右の建物は傾くように写ります。
標準(35mm~60mm)
標準は見た目に近い遠近感で写るレンズになります。
広い景色が写る広角に比べると、35mm前後は被写体や主題を決めて撮影する使い方になります。
50mmはもう少し大きく写るので、風景の切り取りや料理などのテーブルフォト、人物のポートレート、街スナップなどの用途に適してます。
また広角レンズより焦点距離が長くなるので、背景ボケが大きくなるメリットがあります。
中望遠(70mm~135mm)
花やポートレート撮影など数m先の被写体や、風景の一部切り取りに適しています。
近くの被写体を写す場合は大きなボケ味を生かせることが特徴で、特に85mmはポートレート用途として人気があります。
風景撮影では標準域に比べて圧縮効果が強くなることも特徴です。
望遠(150mm~)
望遠は単に遠くの物を大きく写したり、焦点距離の長さを生かした大きなボケ味が特徴です。
また圧縮効果も強く、遠くの景色を近くにあるかのように表現することもできます。
150~300mmは鉄道やスポーツ、運動会などの撮影に、400mm以上は飛行機や野鳥、モータースポーツなど遥か遠方の撮影に適しています。
望遠は焦点距離の幅が広く、400mm以上になると超望遠と呼ばれます。
マクロ(50mm~200mm)
マクロレンズは接近撮影ができる単焦点レンズになります。焦点距離は35mm・70mm・200mmなどがあります。
被写体に極端に接近できるため、目では見えないマクロの世界を写せることが特徴です。
写す被写体の大きさは「撮影倍率」で決まり、多くのマクロレンズの撮影倍率は仕様表で「1倍」となっています。
撮影倍率が1倍であれば焦点距離が異なるマクロレンズでも最大で写る大きさは同じになります。
昆虫など、接近すると逃げてしまう被写体の場合は望遠マクロレンズを使うことで距離を空けて撮影することができます。
マクロレンズは接写だけでなく、通常の単焦点レンズとしても活用することができます。
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3. フルサイズ以外は35mm換算
フルサイズはレンズに書かれた焦点距離のままで画角(写る範囲)を判断することができます。
ただフルサイズ以外のカメラは、35mm換算(フルサイズ換算)をして画角を判断する必要があります。
例えば35mm換算はこのようになります。
- APS-C:50mm→75mm相当
- マイクロフォーサーズ:50mm→100mm相当
レンズが50mmであっても、カメラがAPS-Cの場合は75mm相当で写りますし、マイクロフォーサーズの場合は100mm相当で写ります。
計算式はこのようになります。
- APS-C:×1.5
- APS-C(キヤノン):×1.6
- マイクロフォーサーズ:×2
このようにフルサイズ以外のカメラは、レンズに書かれた焦点距離を倍数で考える必要があります。
35mm換算についてはこちらで詳しく解説しています。
【35mm換算】とは?焦点距離の倍率と計算方法を解説!
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4. 対応マウントを調べる
レンズはカメラボディとマウント(レンズ取り付けの規格)が一致することで装着できます。
同じメーカーでも複数のマウントがある場合もあり、必ずボディと同じマウントのレンズを選ぶ必要があります。
各メーカーのマウントはこのような種類があります。
キヤノン | RFマウント、EFマウント、EF-Mマウント |
---|---|
ニコン | Zマウント、Fマウント |
ソニー | Eマウント、Aマウント |
ペンタックス | Kマウント |
オリンパス ・パナソニック |
マイクロフォーサーズ |
富士フイルム | Xマウント |
レンズとカメラボディが同一であれば装着することができます。
ただ例外があり、キヤノンのAPS-CのEF-Sマウントのカメラには、フルサイズのEFレンズを装着できます。
またニコンの場合はAPS-CのDXフォーマットのカメラには、フルサイズのFXフォーマットレンズを装着することができます。
別マウントのレンズでも装着できるケースがあるので、この点についてはマウントの知識が必要になります。
マウントについてはこちらで解説しています。
レンズマウントの間違えない選び方【一覧表あり】
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5. F値の違い
レンズの開放F値も交換レンズを選ぶポイントになります。
ズームレンズの場合、多くのレンズで開放F値は「F2.8~F3.5」程度が多くなります。
焦点レンズの場合は開放F値が小さくなります。種類により「F1.4」「F1.8」「F2.8」などのレンズがあります。
F値によって写真のボケ具合が変わってきます。例えば、F4とF1.8はこれだけの違いがあります。
ボケ感を楽しみたい場合は、F値が小さいレンズを選ぶことがポイントになります。
ただ開放F値が小さいレンズほど、高価でサイズは大型になります。
予算やレンズの重さも考えて選ぶとよいでしょう。
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6. 手ブレ補正の有無
レンズに手ブレ補正があるかどうかもポイントになります。
ソニーのα7IIIなどボディ内に手ブレ補正がある場合は、レンズに手ブレ補正がなくても問題はありません。
しかしボディ側に手ブレ補正がない場合は、レンズ側に手ブレ補正があるかどうかが重要になります。
レンズの仕様表には手ブレ補正の有無と、手ブレ補正の効果が何段分なのかが書かれています。
参照元:キヤノン公式サイト
この場合はレンズに手ブレ補正があり、4段分という比較的強い補正効果が得られるレンズになります。
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7. レンズ表記の見方
レンズの購入前にチェックすべき項目は仕様表で確認できますが、レンズ名称でも把握することができます。
例えば下の名称はキヤノンのズームレンズになります。
レンズ名称からマウント名や焦点距離(または単焦点かどうか)、開放F値などの基本スペックを把握することができます。
また手ブレ補正の有無や、メーカーによってはAFモーターの種類も表記されています。
メーカーごとのレンズ表記
レンズ表記はメーカーによって異なるので、キヤノン・ニコン・ソニーでそれぞれ例をご紹介します。
ここでは標準ズームレンズの表記を例としています。
キヤノン
キヤノンはフルサイズ用レンズは「EF」、APS-C用レンズは「EF-S」「EF-M」の種類があります。他にはフルサイズミラーレス用の「RFマウント」も登場しています。
高級レンズは「L」の文字が付けられています。
AFモーターは「USM」より「STM」の方が新しい技術になります。
また旧型の改良版(後継機)となるレンズには「II」や「III」が付けられます。
ニコン
ニコンはフルサイズは表記がないですが、APS-C用レンズは「DX」の文字が書かれています。他にはミラーレス用の「Zマウント」も登場しています。
レンズの分類として「Eタイプ」や「Gタイプ」があります。
色収差を軽減するレンズは「ED」が付いていて、手ブレ補正は「VR」で表記されます。
ソニー
ソニーはフルサイズ用レンズは「FE」、APS-C用レンズは「E」で分類されています。また一眼レフ機のAマウントレンズもあります。
ワンランク上のレンズには「G」、さらに高級なレンズは「GM」が付けられています。
ソニーはドイツのカールツァイス社と提携していて、カールツァイス社の技術を取り入れたレンズも作られています。それらは先頭に「Sonnar T*」が付いています。
手ブレ補正は「OSS」で表記されています。
またソニーではスペック名称とは別に、「SEL~」「SAL~」から始まる短い型番を併用しています。
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8. 交換レンズの選び方まとめ
一眼カメラ初心者の方にとって、交換レンズを選ぶことは知識が必要で敷居が高くなっています。
ただレンズ購入に必要な項目をチェックしておくことで、どなたでもレンズ交換ができるようになります。
お気に入りのレンズを見つけて、カメラライフを楽しんでくださいね。
- 用途によってズームか単焦点かを選ぶ
- 何を撮るかで広角~望遠までの焦点距離を決める
- 同一マウントでレンズが装着できる
- フルサイズ機のAPS-Cレンズ使用は条件アリ
- 手ブレ補正の有無も重要
- レンズ名称でスペックがわかる
単焦点レンズはこちらでまとめています。
人気のおすすめ【単焦点レンズ】メーカー別まとめ
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