近年の一眼レフやミラーレスは4K動画など高性能になっているので、それに対応したSDカードを選ぶのが難しくなっています。
このページでは、SDカードを選ぶ際に必要な性能やラベルの見方をご紹介しています。
ノーノちゃん
コヤくん
このページの目次
1. SDカードの性能
SDカードの性能はラベルや箱に記載されていますが、初めてカメラを使う方にはよくわからないと思います。
この項目では、ラベルに書かれた性能を一つずつ解説しています。
カード容量
近年はカメラの高画素化や、連写用途に合わせてSDカードの容量も種類が増えています。
多くの機種で採用されている2400万画素と、高画素機の4500万画素で1枚のSDカードに何枚記録できるかをまとめてみました。
2400万画素数 | 4500万画素数 | |||
---|---|---|---|---|
JPEG | 圧縮RAW | JPEG | 圧縮RAW | |
16GB | 1,600枚 | 600枚 | 1,050枚 | 350枚 |
32GB | 3,200枚 | 1,200枚 | 2,100枚 | 700枚 |
64GB | 6,400枚 | 2,400枚 | 4,200枚 | 1,400枚 |
128GB | 12,800枚 | 4,800枚 | 8,400枚 | 2,800枚 |
256GB | 25,600枚 | 9,600枚 | 16,800枚 | 5,600枚 |
512GB | 51,200枚 | 19,200枚 | 33,600枚 | 11,200枚 |
Amazonの売れ筋ランキングでは、2,000~3,000円程度と安くて容量のある32GBや64GBのカードが人気です。
データの重いRAW撮影や連写をよく使う方は大容量が必要になるので、128GBや256GBも選ばれています。
容量別規格
SDカードは容量別に「SD」「SDHC」「SDXC」の3つの規格があり、それぞれの規格ごとに容量が決まっています。
販売されているSDカードにも、容量が16GBや32GBだと「SDHC」の表記となっていて、64GB以上だと「SDXC」表記となっています。
互換性
カメラで使えるカードはこのようになっています。
この規格は上位の「SDXC」が古い「SDHC」「SD」を読み込むことができます。
ここ数年のカメラは全て「SDXC」対応なので、どのSDカードでも使用することができます。そのため、あまりこの規格は意識しなくても大丈夫です。
UHS規格
UHS規格は2010年に転送速度を向上させた規格になります。
UHS-Iは最大104MB/秒、UHS-IIは最大312MB/秒まで速度を出すことができます。
UHS-II対応のSDカードは書き込み・読み出し速度が速いため、1枚1~3万円と高価になります。
カメラの機種によってUHS対応は異なるので、機種に合わせてSDカードのUHS規格も選ぶことになります。
ただ風景撮影などの用途では転送速度を速くしてもメリットは少ないので、UHS-II対応機種でもUHS-Iカードが選択されることがあります。
UHSの速度差
UHS-IとUHS-IIの速度差は、ソニー公式動画で比較されています。
連写後の書き込み速度と、後半ではパソコンへの読み出し時間を比較していてわかりやすいです。
※テストのSDカード
UHS-II:SF-Gカード(R:300MB/s、W:299MB/s)
UHS-I:SF-UZカード(R:95MB/s、W:90MB/s)
- UHS-II:約35秒
- UHS-I:約1分9秒
- UHS-II:約46秒
- UHS-I:約2分30秒
この例ではα9という高速連写機を使った例なので撮影枚数が多くなっていますが、UHS-IIカードを使うことで待ち時間が短くなっています。
接続端子の違い
UHS-IとUHS-IIのSDカードは裏面の接続端子が違っています。
UHS-IIは高速転送に対応するため、端子が2列になっています。
UHSの互換性
UHS-IとUHS-IIは互換性があるため、カメラに関わらずどちらのカードでも使用することができます。
ただUHS-I対応カメラに高速なUHS-IIカードを入れても、書き込み速度はUHS-I上限速度の104MB/秒までしか出すことはできません。
その場合、書き込み速度は十分に出なくても、パソコンにデータを取り込む際はUHS-IIの読み出し速度を出せるメリットはあります。
スピードクラス
スピードクラスは3つの種類が表記されていて、動画撮影で重要な性能になります。
上記のUHS規格とは異なり、スピードクラスはいずれも最低保証速度の表記となっていることが特徴です。
動画では連続してデータを記録するため、一時的に最高値が出る性能よりも安定して転送ができる最低の速度が要求されます。
- SDスピードクラス(2006年~)
- UHSスピードクラス(2010年~)
- ビデオスピードクラス(2016年~)
種類が多くてややこしいですが、これはカメラの性能に合わせて次々と新しい規格が登場したことが原因となっています。
そのため、一番新しいビデオスピードクラスだけで判断しても大丈夫です。
①SDスピードクラス
2006年に登場した初めのスピードクラスで、Class 2~10まで4段階あります。
- Class 10 ・・・10MB/秒
- Class 6・・・6MB/秒
- Class 4・・・4MB/秒
- Class 2・・・2MB/秒
※最低保証速度
当時はClass 10は高速SDカードというイメージでしたが、現在では一部の古いSDカードを除き、ほとんどがClass 10表記となっています。
②UHSスピードクラス
2010年、カメラの高画素化やフルハイビジョン動画に対応するため、UHS-Iという規格が登場し、その最低速度を保証するUHSスピードクラスが作られました。
アルファベットの「U」の中に「1」または「3」が入る表記となっています。
- UHSスピードクラス3 ・・・30MB/秒
- UHSスピードクラス1 ・・・10MB/秒
※最低保証速度
UHSスピードクラス3 は最低30MB/秒の転送速度となっていて、これは4K動画を記録できる目安の速度となっています。
③ビデオスピードクラス
2016年、4K・8K動画の記録を想定したビデオスピードクラスが登場しました。
SDカードの転送速度が速くなったことで、ビットレートの高い動画を記録する際の基準として使われています。
- V90・・・90MB/秒
- V60・・・60MB/秒
- V30・・・30MB/秒
- V10・・・10MB/秒
- V6・・・6MB/秒
※最低保証速度
ビデオスピードクラスは、以前の2つのスピードクラスの速度も広くカバーしているのが特徴です。
動画撮影をするユーザーは、今後はこのビデオスピードクラスを目安にSDカードを選ぶことになります。
例えば4K30p(100Mbps)を撮る場合は、V10(80Mbps)のSDカードでは記録できないのでV30(240Mbps)を選択します。
600MbpsのALL-I動画を撮る場合は、V90(720Mbps)のSDカードが必要になります。
1バイト=8ビットで計算できるので、例えばV30の30MB/sは8倍すると240Mbpsになります。
スピードクラス一覧表
3つのスピードクラスを一覧表にまとめました。
最低保証速度 | スピードクラス | UHSスピードクラス | ビデオスピードクラス |
---|---|---|---|
90MB/s | V90 | ||
60MB/s | V60 | ||
30MB/s | U3 | V30 | |
10MB/s | C10 | U1 | V10 |
6MB/s | C6 | V6 | |
4MB/s | C4 | ||
2MB/s | C2 |
書き込み速度
書き込み速度は、カメラからSDカードに記録される速度になります。
例えば連写した場合、まずカメラのバッファに画像データが入り、その後SDカードに書き込まれていきます。
SDカードに全て書き込みが完了することを、バッファ解放といいます。
書き込み速度が速いSDカードほど、短時間でバッファが解放されます。
メリットとしてはこのようになります。
- 次の連写を短時間で再開できる
- 操作の待ち時間が短くなる
実際に販売されている書き込み速度が速いSDカードは、UHI-IIなら300MB/s、UHS-Iなら100MB/sに近いカードほど効果を体感できます。
書き込み速度の記載がない
高速タイプのSDカードはラベルに読み出し速度と書き込み速度が表記されています。
ただそれ以外のSDカードは、読み出し速度しか書かれていないことが多いです。
ラベルに記載がない場合は、ケースの裏面やメーカーのWEBサイトで書き込み速度を確認しましょう。(非公表のSDカードもあります)
読み出し速度
読み出し速度は、SDカードから画像データをパソコンへ取り込む際の速度になります。
読み出し速度が速いとこのようなメリットがあります。
- パソコンへの取り込み時間が短くなる
多くの枚数を撮影した場合、パソコンへの取り込み時間は長くなります。特にRAW撮影や高画素機の場合はデータが重いので、さらに待ち時間がかかります。
読み出し速度が速いと、この待ち時間を短くすることができます。
パソコン周辺機器も重要
パソコンへ読み出す速度は、SDカードだけでなくパソコンのUSB端子やカードリーダーの性能も大きく影響します。
特にUHS-IIカードの場合は以下の条件が揃わないと、読み出し速度を発揮することができなくなります。
- UHS-II 対応カードリーダー
- USB3.0端子
最近のパソコンであればUSB3.0端子はついていると思います。
カードリーダーはパソコンについているものは性能が低いので、別途UHS-II 対応カードリーダーを用意しないと高速な読み出し(パソコンへの取り込み)はできなくなります。
UHS-II 対応カードリーダーには、以下のような商品があります。
SDカード専用
ノーノちゃん
コヤくん
2. 性能別 おすすめSDカード
SDカードの性能別に、Amazonでランキング上位のSDカードを一覧にしてみました。
種類が多いですが、使い方に合わせて以下のポイントを重視すれば選びやすくなります。
- 連写目的なら書き込み速度またはUHS-II
- 動画目的ならビデオスピードクラス
- 連写・4K動画を重視しない場合はカード容量
メーカー別SDカード
一覧表でご紹介したSDカードを、メーカー別にご紹介します。
サンディスク
業界最大手の、プロからも信頼性の高いメーカーです。近年はAmazonが直接販売する商品も登場し、安心して購入ができます。
※メーカー保証の有無は商品ごとに異なります。
プログレードデジタル
旧レキサーの首脳陣により、2017年に設立された新しいメーカーです。全世界共通価格が特徴で、高性能で低価格のためプロにも愛用者が広まっています。
※容量は(64GB・128GB・256GB)が販売されています。
ProGrade Digital SDXC UHS-II V90 COBALT 300R 正規輸入品
ProGrade Digital SDXC UHS-II V60 GOLD 250R 正規輸入品
トランセンド
台湾の半導体メーカーで、長年コスパのよいSDカードを提供しています。安価なエントリー向けから高性能なカードまで揃っています。
ソニー
ソニーブランドのSDカードになります。タフシリーズは強度・耐衝撃・防水性を備えた耐久性の高さが特徴です。
タフシリーズは2020年6月にリコールがありましたが、現在Amazonが販売する商品は対策済とのことです。
ノーノちゃん
コヤくん
3. SDカード性能比較テスト
手持ちのSDカード6枚で、書き込み・読み出し速度を計測してみました。
メーカー公称値と実際の数値にどれだけ違いがあるのか、参考にしてみてください。
UHS-II対応のカードリーダーをUSB3.1端子に差し込み、それぞれのカードを計測しました。
カードリーダー:ソニーMRW-S1
USB3.1 Gen1端子接続
ベンチマークソフトCrystalDiskMark
ベンチマークソフトにはCrystalDiskMarkを使いました。
SDカード計測ではシーケンシャルリード/ライトをチェックすればよいとされているので、その部分を赤枠で表示しています。
ソニー UHS-II SF-G64T タフ仕様
読み出しは公称の300MB/sが出ていて、書き込みはやや下がっていますが十分な速度が出ています。
ProGrade Digital SDXC UHS-II V60 GOLD
こちらも公称の速度が出ていて、書き込みはさらに高い速度になっています。
Transcend SDXCカード 128GB UHS-I U3 V30
公称値とほぼ同じくらいの数値が出ています。
安価なUHS-IカードですがV30に対応していて、大容量でも低価格で入手できます。
SanDisk Extreme PRO UHS-I 32GB 海外パッケージ品
数年前に購入した並行輸入品ですが、速度は問題なく出ています。書き込み速度はUHS-IでのMAX速度に近くなっています。
現行モデルは読み出し速度が170MB/sにアップしていますが、これはサンディスク製カードリーダーを使用した場合の数値で、それ以外のカードリーダーではこの95MB/s程度になるようです。
SanDisk Extreme UHS-I
書き込み速度がやや遅いですが、まずまずの数値かと思います。
現行モデルは読み出し速度が150MB/sにアップしていますが、これもサンディスク製カードリーダーを使用した場合の数値で、それ以外のカードリーダーではこの90MB/s程度になるようです。
SanDisk Ultra UHS-I
公称値の読み出し130MB/sは、サンディスク製カードリーダーを使用した場合の数値で、それ以外のカードリーダーでは100MB/sと記載されていました。
書き込み速度は非公表ですが、価格を考えれば十分な速度となっています。
ノーノちゃん
次は、SDカードの疑問点をご紹介します。
コヤくん
4. SDカードの疑問Q&A
SDカードを買おうと探していると、販売店による価格差や海外製品の安全性など様々な疑問が出てきます。
ここではそれらをまとめてお答えしています。
サンディスク製品はなぜ価格差があるの?
サンディスクのSDカードを調べて驚くのは、お店とAmazonで大きな価格差があることです。
同じ性能のSDカードなのに、このような違いがあります。
家電量販店 12,000円
Amazon 2,000円
家電量販店 8,000円
Amazon 2,000円
基本的にAmazonで販売されているサンディスクのSDカードは、以下の2タイプになっているようです。
- 業者が海外で買い付けた「並行輸入品」
- 正規代理店を通した簡易包装の「正規品」(Amazonが販売・保証あり)
つまりAmazonでは海外商品が販売されていることと、簡易包装仕様の正規品が安く販売されていることが価格差の理由になっています。
小売店に並ぶ国内向け商品は並行輸入品より高くなるものですが、なぜ小売店のサンディスクのカードはここまで高いのかはよくわかっていません。
一説には日本ユーザー向けの保証やサポートが影響していると言われています。
他社の海外メーカー
一方、プログレードデジタルは全世界共通価格としていて、トランセンドも海外での販売価格と国内向け商品の価格はだいたい同じになっています。
同じ海外メーカーで違いがある理由はわかりませんが、サンディスクの国内向け商品の価格設定が高いということになりそうです。
並行輸入品は使っても大丈夫?
並行輸入品であっても、海外で正規に販売されている商品であれば問題ないと思います。
筆者も上記でご紹介したように、海外パッケージ品のSDカードを1枚所有しています。
ただ口コミでは「裏面に製造番号がない」や「開封された形跡がある」という例もあるようで、稀に怪しい商品に当たることがあるようです。
そのため並行輸入品を購入する際は、万が一のケースも覚悟して購入する必要があります。
「×1667」とはどういう意味?
レキサーなど一部のSDカードでは、ラベルに倍速表記を採用しています。
これは昔のCD-ROMドライブの等速転送速度150KB/sを基準とした数値で、例えば「×1667」のSDカードは「150×1667=250MB/s」となります。
他にはこのような倍速もあります。
「×1667」のSDカード:250MB/s
「×2000」のSDカード:300MB/s
他社と異なる速度表記はややこしいですが、レキサーのSDカードは「MB/s」表記も書かれています。
カメラとの相性はあるの?
多くの場合は問題なく使えますが、一部でカメラと記録メディアとの相性で動作しないケースが起きています。
例えばこのような例です。
- ソニーのαシリーズでサンディスクのSDカードが認識されないトラブル(現在は解消)
- ニコンのZ7・Z6でプログレードデジタルのCFexpress COBALTシリーズを使うとエラーが出る
相性問題は原因もよくわからないので、ひとまず購入店に返品の相談をすることになります。
このようなケースに備えて、購入店は初期不良対応をしてくれるお店を選んでおくと安心です。
左にあるスイッチは何?
SDカードの左側にあるのはロックスイッチで、下げると書き込み・削除禁止状態にすることができます。
もしSDカードをカメラに入れて「書き込み禁止になっています」などのメッセージが出た場合は、このロックスイッチを解除することで撮影できます。
ロックを使っているユーザーは少ない印象ですが、このスイッチがトラブルの原因になることがあります。
- ロックスイッチが外れて書き込み禁止状態になる
- SDカードをカメラに入れる際にロック側に動いてしまう
長く使用しているSDカードほど、このような故障が起きやすくなっています。
SDカードに保証はあるの?
メーカー保証対象のSDカードはあります。Amazonの場合は商品概要に「無期保証」や「5年保証」などと記載されています。
ただSDカードによってはメーカー保証についての記載がなかったり、「正規品」と記載があるのにメーカー保証はつかない商品もあるので購入前に確認が必要です。
故障した場合は?
保証期間内にSDカードが記録できなくなったり、外装が欠けるなどの場合、保証規定の範囲であれば無償交換してもらえます。(記録データの保証はありません)
保証適用には購入時の保証書やレシート(Amazonなら購入履歴で領収書が表示できます)が必要になります。
5. メーカーのサポート窓口
各メーカーごとに、サポート窓口が用意されています。
上記でご紹介した4社のサポート窓口をまとめてみました。
サンディスク
サンディスクはサポートページでメール問い合わせ・製品登録・交換申請などを行うことができます。
トランセンド
トランセンドのサポートページでは、フォームからの問い合わせや電話窓口が用意されています。
プログレードデジタル
プログレードデジタルは販売しているAmazonの購入履歴から問い合わせをすることができます。
ソニー
ソニーの総合サポートページから、メール・電話・LINEなどで問い合わせることができます。
6. SDカードの選び方まとめ
連写用途や高画素機を使っている方、動画用途で使う方はハイスペックなSDカードが必要になります。
ただ風景撮影やポートレートなど、用途によっては性能はあまり重要でない方もいると思います。
撮影スタイルに合わせて、お好みのカードを探してみてください。
- UHS-IかUHS-IIで速度が違う
- 連写を使うなら書き込み速度が重要
- スピードクラスは動画向けの数値
- ラベルは読み出し速度が記載されている
- 保証期間内であれば交換してもらえる