カメラのAF(オートフォーカス)はピントがずれたり、上手く合わないことがあります。
「AFがなぜか合わない。カメラの故障?」
「ピントが合ったのに、写真を見るとピンぼけしている」
このような症状がなぜ起きるのか、特に初心者の方は全くわからないと思います。
そこでこのページではピントが合わない原因と対処法をまとめてみました。
ノーノちゃん
コヤくん
このページの目次
1. カメラが苦手とする被写体
AFが上手く合わない理由に、カメラが苦手とする被写体である場合があります。
状況によって4つのパターンがあるので順にご紹介します。
- 単色の部分
- コントラストが弱い場面
- 反射する被写体
- 手前に別の被写体がある場合
①単色の部分
カメラは色の境目や明暗差のある部分にピントが合いやすくなります。
一方雲のない空や白い壁など、単色だけの場所にはAFが合いにくい特性があります。
風景なら建物や山の稜線、身近な物なら影や色の境目にフォーカス枠を合わせると、ピントが合いやすくなります。
小さいフォーカス枠に注意
フォーカス枠を小さいタイプに設定していると細部に合わせることができますが、一方で狙う場所が単色だけになることが多くなります。
この場面ではもう少し大きな枠を選択することで、ピント精度を高めることができます。
ノーノちゃん
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②コントラストが弱い場面
コントラストが弱い場面もAFは苦手です。例えば夕方の風景はコントラストが低下しやすくなります。
AFで合わない場合はMF(マニュアルフォーカス)に切り替えて撮影することになります。
合焦してもピントがずれている
「ピピッ」と合焦音が鳴って撮影しているのに、拡大すると微妙にぼやけているケースがあります。
これはコントラストが弱くなる夕暮れ時や曇の日に起きやすく、AF性能が低いカメラでは特に注意が必要です。
下の写真は入門機を使って曇りの日に同じ場所で何枚も撮影したものです。
その結果、10枚に2枚程度の割合でピントが微妙に合っていない写真が撮れていました。
このような環境では電子音が鳴っても安心せず、画像のチェックが重要になります。
ノーノちゃん
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③反射する被写体
太陽の光が反射しているガラスや、光沢のあるツルツルした質感の自動車のボディなどはピントが合いにくくなります。
この場合は反射している面を避け、影や凹凸のある部分にフォーカスを合わせるようにします。
ノーノちゃん
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④手前に別の被写体がある場合
フォーカス枠付近に遠い物と近い物がある場合は、カメラはどちらにピントを合わせてよいかわからず迷いやすくなります。
また機種によってはフォーカス枠が大きく、手前の被写体もフォーカス枠に入ってしまうことがあります。
この場合はフォーカス枠を一番小さい枠を選択することで狙いやすくなります。
また風の揺れが原因であればタイミングを図ったり、少し角度をずらして合わせる必要があります。
ノーノちゃん
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2. AF性能の問題
カメラは入門機と上位機でAF性能に差があります。
ここではAF性能が原因によるピントが合わない3つの例をご紹介します。
- 暗い場所のAF性能
- 動く被写体のAF性能
- マクロレンズはAFが遅い
①暗い場所のAF性能
暗い場所では人間の目と同じで、カメラも対象物までの距離感がわからなくなります。
暗い環境でもピント位置が近い場合は、スマートフォンのライトを照らすことでAFを合わせやすくなります。
ライトを照らしてピントが合ったら、MFに切り替えて(親指AFの場合は指を離して)シャッターを切ります。
どうしても暗い状況でAFが合わない場合は、MFに切り替えてライブビューの拡大表示でピントを合わせる方法になります。
暗い場所のAF性能
カメラには「測距輝度範囲」という性能があります。
この性能が優れていると、暗い場所でもAFが合いやすくなるので目安にできます。
この数値が低いほど、暗い場所でもピントが合うことになります。
機種によっては「EV-5」などのカメラもあり、かなり暗い場所でもピントが合いやすくなります。
ノーノちゃん
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②動く被写体のAF性能
カメラは動く被写体にピントを合わせるのが苦手です。
そのため上位機は野鳥やサーキット、鉄道撮影など動体撮影ができるようAF性能を強化しています。
しかし入門機の場合はAF性能が低くなっています。
動く被写体向けのAF-Cモードを使っても、遊んでいる子供や動き回るペットにはピントが追いつかないことがあります。
そのためなるべく動きが少ないタイミングでシャッターを切るのがおすすめです。
ノーノちゃん
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③マクロレンズはAFが遅い
マクロレンズを使っている場合、一般的には通常のレンズよりAFは遅くなります。
特に近い被写体にAFで合わせようとすると、いつまでも前後に動いてなかなか合わない場合があります。
マクロレンズの種類によってもAF速度の差はありますが、基本的に遅いのでそれを理解して使うことになります。
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3. 操作ミスによる原因
撮影者の操作ミスによってピントが合わないケースを4つご紹介します。
単純な設定ミスから、レンズの知識に関わる失敗もあります。一度知っておくと簡単に解決ができます。
- MF設定になっている
- 最短撮影距離より近い
- 視度調整ダイヤル
- フォーカスリミッター
①MF設定になっている
カメラの設定がAFではなくMF(マニュアルフォーカス)になっている場合は、もちろんですがAFは効きません。
MFで撮影した後に戻すのを忘れていることがあり、これは設定を戻すことで対処できます。
特に、AF時にフォーカス枠が光らない設定だとAFが動作していると勘違いしやすいので注意が必要です。
ノーノちゃん
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②最短撮影距離より近い
レンズにはそれぞれ「最短撮影距離」という、ピントが合う最も短い距離が決まっています。
ここではニコンの「AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G」という単焦点レンズを例にご紹介します。
実際にこのレンズで確認しても、30cmまでは接近してもピントが合います。
※最短撮影距離はレンズ先端ではなく、カメラのイメージセンサー位置と被写体の距離になります。
もし30cmより近づいてしまうと、AFは迷ったままでピントは合わなくなります。
最短撮影距離はレンズごとに違いがあり、その長さより接近するとピントが合わなくなります。
特に50mm単焦点レンズをお持ちの方は多いと思いますが、最短撮影距離が40cm~50cmなど長いレンズが多いです。
そのためテーブルの椅子に座って料理を撮影しようとしても、そのレンズでは椅子を後ろに引かないとピントが合わないことがよくあります。
一般的に最短撮影距離は広角レンズ(またはズームレンズの広角側)は短く、望遠になると長くなります。
ノーノちゃん
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③視度調整ダイヤル
視度調整ダイヤルは、撮影者の視力に合わせてファインダー内をくっきり見えるよう調整するダイヤルになります。
この視度調整ができていないと、ファインダー内の像がぼやけてピントが合っていないように見えてしまいます(AFが正常であれば写真のピントは合います)。
視度調整ダイヤルは「+」と「ー」のどちらかに回せるようになっていて、ファインダーを覗きながら綺麗に見える位置までダイヤルを回して調整します。
ノーノちゃん
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④フォーカスリミッター
マクロレンズや望遠レンズなど一部のレンズにはフォーカスリミッターがついています。
これは近距離用と遠距離用にピントを合わせるスイッチですが、遠距離用のままで接近してもピントは合いにくくなります。
この原因はスイッチを適正にすることで解決します。
ノーノちゃん
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4. 故障による原因
カメラやレンズの不良によって、ピントが合わないケースがあります。
故障とまではいかなくても、メーカーにレンズを送るような場合もあります。
ここでは3つの例をご紹介します。
- レンズの故障
- カメラとレンズの接点
- 前ピン・後ピン
①レンズの故障
レンズのフォーカス動作不良で、ピントが甘くなったり動作がおかしくなることがあります。この場合は修理に出すことになります。
保証期間内であれば安心ですが、保証がない場合は修理代金がかかります。
メーカーの設定料金やレンズの種類、故障度合いにもよりますが、一般的な相場で1万円~3万円などの費用がかかります。
ノーノちゃん
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カメラ・レンズの修理費についてはこちらでまとめています。
一眼レフやミラーレスの故障!修理費はいくら?延長保証はどうする?
②カメラとレンズの接点
レンズが上手く装着されていない場合はAFができなくなります。
またレンズを接続させる電子接点が汚れていると、レンズとカメラの通信エラーが起こります。
これでも直らない場合はレンズの不良か、またはボディ側の故障の可能性もあります(この場合はエラー表示が出ます)。
ノーノちゃん
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③前ピン・後ピン
- 「前ピン(まえぴん)」:
狙った位置より前にピントがくること - 「後ピン(あとぴん)」:
狙った位置より後ろにピントがくること
前ピン・後ピンは狙った位置より前後にピントがずれる状態をいいます。これは一眼レフの「位相差AF」が動作するカメラに起きる問題になります。
特にシグマやタムロンなどのサードパーティ製レンズを使った場合は、純正レンズより起きやすくなります。
前ピン・後ピンの簡単な確認方法として、メジャー(測り)をテーブルに置き、三脚を使用して1点を狙って撮影します。
※ライブビューではなく光学ファインダーで行います。
例えば前ピンが起きていると、左のように10cmの目盛りにフォーカスを合わせても少し手前にピントがきています。場合によっては後ピンが起きていることもあります。
この場合はカメラにAF微調整機能があれば、前後に標準ピント位置をずらして正しい位置に調整することができます。
もしAF微調整ができないカメラや、ピントずれが大きい場合はレンズメーカーにカメラごと送って調整してもらう方法があります。
※場合により有料対応になります
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5. 一眼レフとミラーレスの違い
ピント合わせの精度が劣るAF方式があるので、お持ちの機種を把握しておくとよさそうです。
一眼レフ
- 光学ファインダー:位相差AF
- ライブビュー:像面位相差AF、コントラストAF
一眼レフの場合、光学ファインダーで撮る場合はピント合わせが速い「位相差AF」を使います。
ライブビューは機種によって違いがあり、キヤノンの場合は「像面位相差AF」、ニコンは「コントラストAF」などを使ってピントを行います。
使用するレンズによりますが「コントラストAF」はフォーカス速度が遅く、なかなかピントが合わないと感じることが多いです。
ミラーレス
- 像面位相差AF、コントラストAF、空間認識AF
ミラーレスの場合はメーカーによってAF方式に違いがあります。
ミラーレスの「コントラストAF」は高速化されていますが、やはり状況によってはピントが合わないことがあります。
例えば「コントラストAF」を採用しているオリンパスの入門機は追従性能はそれほど高くありません。
ソニーのミラーレスもF11以上などの絞ったF値では「コントラストAF」のみの動作となり、ピント精度が落ちてしまいます。
ノーノちゃん
コヤくん
6. ピントが合わない場合のまとめ
ピントが合わないトラブルは、単に操作ミスやカメラのAF性能の問題、または故障など様々な原因で起こります。
初心者の方は解決が難しいかもしれませんが、一つずつ原因を探ってみてくださいね。
- 一色の面や暗い場所のピント合わせは苦手
- なるべくフォーカス枠には影やコントラスト差のある部分を入れる
- 動く被写体のピント合わせはカメラのAF性能が必要
- MF設定になっていないか確認する
- 最短撮影距離より短い距離ではピントが合わない
- マクロレンズなどはフォーカスリミッターも確認する
- 接点不良や故障の可能性もある
- 前ピン・後ピンはAF調整やレンズメーカーに依頼する
- コントラストAFは位相差AFより合いにくい場面が多い
カメラが故障している場合の費用目安はこちらで解説しています。
一眼レフやミラーレスの故障!修理費はいくら?延長保証はどうする?