キヤノンから新型のEOS Kiss M2が発売されることになりました。
このページでは、旧モデルのEOS Kiss Mとの違いを比較しています。
ノーノちゃん
コヤくん
このページの目次
1. 外観と寸法
キヤノンショールーム(大阪)で撮影した、EOS Kiss M2の展示機になります。
EOS Kiss Mとの比較
次に、EOS Kiss M2と旧モデルEOS Kiss Mのサイズ比較になります。
基本は同じボディとなっていて、ホワイトカラーが2g軽くなっている程度です。
カラーバリエーションは同じくブラック・ホワイトの2色展開となっています。
ライバル機との比較
EOS Kiss M2と同じサイズや価格帯の他機種と、サイズ比較をしてみました。
EOS Kiss M2はAPS-C機としては小型軽量で、マイクロフォーサーズのLUMIX G100に近いサイズ感となっています。
2. 発売日と価格
発売時期と相場はこのようになっています。
- EOS Kiss M2:2020年11月27日
- EOS Kiss M:2018年3月
3. 新機能
EOS Kiss M2は旧モデルのEOS Kiss Mと基本性能は同じで、一部の機能が追加されています。
その新たに追加された機能をまとめてみました。
瞳AFの進化
EOS Kiss M2は瞳AFの性能が高くなっています。
瞳検出性能アップ
EOS Kiss M2は人物が離れた距離でも瞳を検出できるとしています。
実機で瞳AFを試したところ、パネルの小さい人物写真の瞳には、非常に小さい枠で捕捉し続けていました。やや下を向いている瞳も捕捉しました。
旧モデルEOS Kiss Mの瞳AFのフォーカス枠はぎこちない動きでしたが、EOS Kiss M2ではなめらかに動いてターゲットから外れにくい印象です。
※発売前の実機体験のため、動作中の液晶モニターは撮影禁止でした。
複数人物の切り替え
瞳AFは一人に動作しますが、複数の人物がいた場合は十字キーを使って瞳のフォーカス枠を他の人物に移動できる機能がついています。
複数の人物が写っているパネルで試してみましたが、左右の瞳を移動させながらそれぞれの人物を移動できました。
サーボAF対応
EOS Kiss M2の瞳AFはワンショットAF限定ではなくなり、サーボAFでも動作するようになっています。
動画時のサーボAFでも動作するため、Vlog撮影で人物を撮ったり、子供の動画撮影などに便利です。
追尾性能の向上
被写体にタップしてロックオンした後、追尾するフォーカス枠の動きが細かく、カメラを動かしても吸い付くように捕捉してくれます。
これはAFが進化したEOS M6 Mark IIの追尾性能と同等に感じました。
動く被写体の場合、まず液晶モニターで被写体をタップしておき、良いタイミングでシャッターを切る使い方ができます。
4KのコントラストAF改善
EOS Kiss M2は、4K撮影時はフォーカスの遅いコントラストAFとなります。
そのコントラストAFのアルゴリズムがKiss M2で改良されたということで、展示機で4K動画のAFを試してみました。
感想としてはAFは遅い印象で、ピントを遠くから近くへ移動するとゆっくり合わせてくれますが、時間がかかることもありました。
簡単な検証なので結論を出すのは難しいですが、像面位相差とは異なるAFという印象です。
4. EOS Kiss M2の基本性能
EOS Kiss M2の基本性能は、旧モデルEOS Kiss Mと同じになっています。
最新モデルとしてはインパクトに欠けますが、初心者ユーザーが使うには十分なスペックとなっています。
2410万画素
画像出典:キヤノン公式サイト
キヤノンのAPS-Cミラーレスには3000万画素の機種も登場していますが、EOS Kiss M2はこれまでと同じ2410万画素となりました。
ただプロ・ハイアマチュア向けのEOS R6や1DX MarkIIIが約2000万画素であるように、画素数が高いほど画質が良くなるわけではないのでデメリットにはなっていません。
個人的にAPS-C機は2400万画素がちょうどよいバランスに感じています。
連写性能
EOS Kiss M2の連写性能も旧モデルを引き継いでいます。
- ワンショットAF:約10コマ/秒
- サーボAF:約7.4コマ/秒
最高約10コマ/秒なので、エントリー機としては十分な高速連写ができます。
約4.0コマ/秒の低速連写も選べるので、撮影シーンによって選択できるところも便利です。
ただ下記の不満点にも書いていますが、バッファが小さいために連写をしてもすぐに詰まり、連写速度が遅くなります。
快適なタッチ操作
画像出典:キヤノン公式サイト
EOS Kiss M2はタッチ操作がとても便利で、スマホのようにメニューや設定を素早く変更できます。
タッチフォーカスやタッチシャッターも好みに合わせて選択することができます。
タッチ&ドラッグ
画像出典:キヤノン公式サイト
タッチ&ドラッグはファインダーを覗きながら液晶モニターを指でなぞって、フォーカス枠を移動できる機能です。
EOS Kiss M2にはジョグダイヤル型のマルチセレクターはついていませんが、このタッチ&ドラッグがあることでスムーズにフォーカス位置を決めることができます。
ボディが小型のためこのタッチ&ドラッグが操作しやすく、マルチセレクターがなくても問題ないように感じました。
ボタンカスタマイズが便利
EOS Kiss M2は操作ボタンが少ないため、素早くアクセスできる操作は少なくなっています。
ただ背面の十字キーやAEロックボタンを自由に割り当てることができ、またよく使う機能はM-Fnボタンに割り当てることができます。
クイック設定も整理されているので、ボタンが少ない機種ですが基本操作は十分かと思います。
シーンインテリジェントオート
画像出典:キヤノン公式サイト
初心者向けの簡単操作ができるシーンインテリジェントオートも搭載しています。
難しいカメラ用語は使わず、「明るさ」や「背景ぼかし」などの項目をスライドするだけで、画像の変化を確認することができます。
写真の色味や雰囲気を変えるプリセットは11種類用意されていて、このプリセットも色を確認しながら選択できます。
スマホに画像を自動送信
画像出典:キヤノン公式サイト
Camera Connectアプリを使うことで、撮影した写真を自動でスマートフォンへ転送させることができます。
スマートフォンからカメラ内の画像を確認することもでき、カメラの電源が入っていなくても操作が可能です。
またCamera Connectアプリを使うとBluetooth接続でスマホをリモコン替わりに使うことができます。
image.canon
画像出典:キヤノン公式サイト
EOS Kiss M2はキヤノンの新しいクラウドサービス、image.canonに対応しています。
撮影画像を容量無制限でクラウドへアップロードし、PCへダウンロードしたりGoogleドライブへ転送できたりします。(クラウドの保管期間は30日)
5. 不満点
EOS Kiss M2は旧モデルEOS Kiss Mのデメリットもそのまま引き継いでいます。
個人的に気になる点をまとめてみました。
4K動画
EOS Kiss M2は4K動画が撮影できますが、フレームレートは24pとなっています。
24pはシネマ風に撮れるメリットはありますが、動きのある映像では残像が気になってしまいます。一般的な30p記録にも対応してもらいたかったです。
また4K記録時はクロップ(画角が狭くなる)も発生するので、動画撮影はフルHDの方が使いやすいと思います。
サイレント時の連写不可
サイレント撮影はシーンモードの中にある機能で、無音撮影ができます。
しかし引き続きサイレント撮影時はドライブモードに連写選択が表示されず、単写のみの撮影となっています。
バッテリーが少ない
EOS Kiss M2のバッテリーLP-E12は容量が小さく、撮影枚数が少ないデメリットがあります。
仕様表では撮影枚数はファインダーで約250枚、モニターで約305枚となっています。
バッテリー消費を気にしながら撮影しても1日400~500枚程度と思われるので、予備バッテリーは必須になると思います。
バッテリーを長持ちさせるためには、こまめに電源を切る、画像再生時間を短くする、再生時の画像削除を行わない、などがポイントになると思います。
ピーキング
MF(マニュアルフォーカス)時はフォーカスが合うエリアが強調表示されるピーキング機能を使うことができます。
ただAFのままでピントリングを回してMF操作ができるフルタイムマニュアルでは、ピーキングは動作しませんでした。
MFをよく使うユーザーにとっては不便になっています。
6. アクセサリー
ここではEOS Kiss M2を使うために必要な物や、あると便利なアクセサリーをご紹介しています。
SDカード
EOS Kiss M2に合うSDカードは、UHS-I対応で4K動画が記録できる性能になります。
ここではサンディスクのSDカードをご紹介します。
予備バッテリー
EOS Kiss M2は予備バッテリーがあると安心です。
いろんなメーカーからサードパーティ製バッテリーが販売されていますが、ここではキヤノン純正品をご紹介します。
ワイヤレスリモコン
EOS Kiss M2のリモコンは無線タイプが対応しています。
BR-E1はBluetooth接続ができ、どの方向からでもシャッターを切ることができます。
Camera Connectアプリを使うことでスマートフォンから遠隔撮影はできますが、夜景などの撮影が多い場合はシャッターボタンのあるBR-E1の方が扱いやすいです。
外部マイク
外部マイクがあると、動画撮影時の音質が良くなります。
RODEのVideoMicroは音質が良くて価格も安いので、多くのYouTuberから人気があります。
プラグインパワー方式なので電池切れの心配がないのもメリットです。
グリップ
グリップがあると、歩き撮りやVlogなど動画撮影がしやすくなります。
キヤノン純正のHG-100TBRはミニ三脚としても使えるので便利です。
三脚
EOS Kiss M2はボディもレンズも軽量なので、軽い三脚でも大丈夫です。
ただマンフロット社の「befree」シリーズなどは剛性感があり、長く使える三脚となっています。
三脚の選び方や種類はこちらでまとめています。
おすすめ三脚の選び方(一眼レフ・ミラーレス向け)
ドライボックス
カメラ・レンズの保管には防湿庫を使う方法がありますが、ドライボックスであれば安くて入手しやすいメリットがあります。
一般的な密封ケースでもよいですが、カメラ専用の湿度計付きタイプだと便利です。
ドライボックスの中に入れる乾燥剤は、シリカゲル乾燥剤だとカメラの油分も吸収してしまうので、カメラ専用の石灰乾燥剤タイプがおすすめです。
7. 交換レンズ
キヤノンのEF-Mレンズはいずれも小型で、EOS Kiss M2のボディにマッチします。
おすすめのEF-Mレンズをご紹介します。
EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM
換算29~240mmとなる高倍率ズームレンズになります。
このレンズ1本で広い焦点距離をカバーできるので、旅行などにも最適です。
EF-M28mm F3.5 マクロ IS STM
換算45mmとなる標準画角のマクロレンズになります。
先端にLEDライトを内蔵し、1.2倍のスーパーマクロモードもついています。
EF-M22mm F2 STM
換算約35mmとなる薄型の標準単焦点レンズで、明るいF2レンズになります。
スナップ用途に使いやすい画角で、低価格なので人気があります。
EF-M32mm F1.4 STM
換算約51mmとなる標準単焦点レンズで、開放F値1.4の大口径レンズになります。
大きなボケ味を表現したい場合に最適です。
EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM
換算で18~35mmとなる、超広角ズームレンズになります。
一般的に超広角ズームは高価ですが、このレンズは低価格でEF-Mマウントを生かした小型が特徴になります。
マウントアダプター EF-EOS M
EF-MマウントのEOS Kiss M2に、キヤノンのEFレンズ・EF-Sレンズを装着できるマウントアダプターになります。
すでにEFレンズを所有している方や、EFレンズも使ってみたい方に便利です。
8. 上手な選び方のポイント
EOS Kiss M2・EOS Kiss Mそれぞれの選び方をまとめてみました。
EOS Kiss M2
EOS Kiss M2は主に瞳AFが改良されたモデルとなっています。
EOS Kiss Mユーザーにとっては買い替えは難しいかもしれませんが、今から小さいミラーレスを検討している人には最適な機種となっています。
他社のエントリー機と比べても、EOS Kiss M2は低予算で購入できるのでお得感があります。
EOS Kiss M
EOS Kiss Mは2018年発売の旧モデルなので少し安くなっていますが、大幅な値下げにはなっていないようです。
現時点では新型の方がよいと思いますが、今後価格が下がれば候補になるかもしれません。
9. 主な仕様表
機種名 | EOS Kiss M2 | EOS Kiss M |
---|---|---|
発売時期 | 2020年11月27日 | 2018年3月 |
マウント | キヤノンEF Mマウント | |
イメージセンサー | APS-C | |
画像処理エンジン | DIGIC 8 | |
画素数 | 2410万画素 | |
記録形式 | JPEG、RAW、C-RAW | |
ダスト除去機能 | 自動/手動 | |
ISO感度 | 100~25600 (拡張:ISO51200) |
|
AF方式1 | デュアルピクセルCMOS AF方式 | |
AF方式2 | 顔+追尾優先AF、 ゾーンAF、1点AF、 スポット1点AF |
顔+追尾優先AF、 ゾーンAF、1点AF |
測距輝度範囲 | EV-4 – 18 | EV-2 – 18 |
シャッタースピード | 1/4000-30秒、バルブ | |
ストロボ同調速度 | 1/200秒 | |
連写 | ワンショットAF: 最高約10コマ/秒 サーボAF: 最高約7.4コマ/秒 |
|
連続撮影枚数 | JPEG36枚・RAW10枚 | JPEG33枚・RAW10枚 |
液晶モニター | チルト液晶 ワイド3.0型/ 約104万ドット |
|
タッチシャッター | ◯ | |
タッチ&ドラッグAF | ◯ | |
オートライティングオプティマイザ | ◯ | |
高輝度側・階調優先 | ◯ | |
カメラ内RAW現像 | ー | ◯ |
水準器 | ◯ | |
Wi-Fi | ◯ IEEE 802.11b/g/n |
|
Bluetooth | 4.2 | 4.1 |
カードスロット | シングルスロット SDXC UHS-I |
|
インターフェイス1 | マイク入力 | |
インターフェイス2 | Micro USB Type-B HDMI(タイプD) |
|
USB充電 / 給電 | – / – | |
外形寸法(mm) | 116.3(幅) 88.1(高さ) 58.7(奥行) |
|
重さ(バッテリー、 メモリーカード含む) |
ブラック:約387g/ホワイト:約388g | ブラック:約387g/ホワイト:約390g |
撮影可能枚数 | ファインダー:約250枚 モニター:約305枚 |
約235枚 |
バッテリーパック | LP-E12 |
機種名 | EOS Kiss M2 | EOS Kiss M |
---|---|---|
記録方式 | MP4 | |
圧縮形式 | MPEG-4 AVC/H.264 | |
内蔵マイク | ステレオ | |
音声記録方式 | MPEG-4 AAC-LC | |
動画記録 | 4K24p フルHD60p |
|
動画電子手ブレ補正 | ◯ | |
ライブ配信サービス | ◯ | ー |
■EOS Kiss M2
■EOS Kiss M
10. EOS Kiss M2のまとめ
新型モデルとしては一部のアップグレードのみとなりました。
4K動画など他社機に劣る部分はありますが、価格が安くEF-Mレンズの安さもメリットとなっています。
初めて一眼カメラを検討しているユーザーに適しています。
- 瞳の認識性能アップ
- 動画時のサーボAFに対応
- AF追従性能が向上
- 基本性能は同じ